第5話 マキナとアリア、最強武器でクエスト開始!
『虹の蝶』の入団審査の翌日、
マキナの冒険者としての初日が始まろうとしていた。
「あらためてよろしくなアリア」
「こちらこそよろしくマー兄!」
『虹の蝶』のギルドホールで挨拶を交わす2人。
ちなみに家が隣同士なので、ギルドまでは一緒に来ていた。
「それじゃあ早速クエストを選ぶか」
クエストボードの前へ向かい、クエストを確認。
「ガイアリザード3体の討伐、霊獣カイゼルの捕獲、ルオーラ鉱石の採取、ザルゴ山賊団の壊滅及び確保……貴族からの依頼もあるじゃないか、すごいな」
「『虹の蝶』のクエスト発注数は国内トップクラスだからね!」
「……それだけここが信頼されてるってことか」
「これだけあると目移りしちゃうよね、私はどれにしよっかなぁ〜」
マキナはクエストボードに貼り付けられた様々な種類の依頼書に圧倒されていた。討伐クエストが大半を占めていた『白銀の翼』とはまるで違う。
そんなマキナにとある依頼書が目に入った。
ハウンドウルフ、狼の姿をした低級モンスターの討伐依頼だ。
何でも20匹の群れが、街から北東の森林地帯で目撃されたらしい。
「俺はこれにする」
マキナはクエストボードから依頼書を剥ぎ取る。
「ハウンドウルフ? マー兄ならもっと強いモンスターでも勝てるのに」
「気になる点がある、ハウンドウルフの群れにしては数が多い。ワーウルフが率いている可能性がある」
ワーウルフ、強靭な半狼半人の肉体を持つハウンドウルフの突然変異種。ハウンドウルフの群れはリーダーが強ければ強いほど引き連れている数が多くなる傾向がある。
上位の存在であるワーウルフが群れのリーダーなら、この数も納得がいく。
「ワーウルフにはハウンドウルフと違って知能と狡猾さがあるからな、群れを操って近くの集落を襲う危険性も出てくる。早めに叩いた方が良さそうだ」
「なら私もいく!」
アリアは鼻息荒く右腕を挙げた。
「無理して付いてこなくていいぞ」
「マー兄となら大丈夫だよ、心配しないで!」
「そっか、ありがとな……!」
「にひひ!」
「アリア、武器を貸してくれないか? 危険なクエストになるかもしれない以上、アリアの武器も強化しておきたいんだ」
「わかった、はい!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
武器:ツインダガー
威力:50
耐久値:(70/70)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アリアが腰から取り出したのは短い双剣。
一般的にツインダガーと呼ばれる武器だ。
「これって、まさか」
「うん、マー兄が私にくれた物だよ」
マキナが『白銀の翼』の鍛冶師になる前に作った1番最初の武器。
どれだけ大切にされてきたのか手のひらを通して伝わってくる、鍛冶スキルを極めたマキナだからこそ読み取ることができた。
今の彼なら、更に強く出来る。
マキナは【収納】スキルで素材を取り出す。
S級モンスター、幻獣オルトロスの牙だ。
「鍛冶スキル【作製】」
数ある鍛冶スキルの真骨頂とも言えるその異能力。
マキナは手のひらでツインダガーと牙を包むと、内側が光り輝いていく。
光を纏い、合わさり、形を変え、輝きが収まると生まれ変わった新たな姿をみせる。
――双牙剣オルトロス。
幻獣の牙を思わせる白き剣身を持つ、二振りの短剣。
「さぁ、狼退治だ!!」
「おー!!」
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