なみだなが化物バケモノ見下みおろしながら、おひめさまは「ぞこないが。わる足掻あがきしやがって」と、ひとごとをさらにつづけます。


 そんなおひめさまが、にしていた包丁ほうちょうおおきくげたその瞬間しゅんかん──



 まあ! なんということでしょう!



 よわりきっていたはずの化物バケモノきゅうにおひめさまをねのけ、こしかくっていた三徳さんとく包丁ぼうちょうをあろうことかセーラーふくむなもとにふかしたのです!



 化物バケモノ包丁ほうちょうくと、おひめさまの華奢きゃしゃ身体からだからあざやかな血飛沫ちしぶきします。それは、とてもとても綺麗きれい放物線ほうぶつせんえがきました。


「うっ……アッ…………ああ…………」


 おおきくひらいてくちからながしているおひめさまは、包丁ほうちょうげた格好かっこうのまま、ゆっくりとうしろへ蹌踉よろけながらたおれてしまいました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る