2022バレンタイン作品 手作りをもう一度

小さな頃

一生懸命作ったチョコレートは


お店で小奇麗なチョコレートを買って済ませるようになった

別に特別な人がいるわけじゃないし


決して上手とは言えない手作り菓子よりも

その方がお互い言葉に困らなくて済む


その日も義理チョコを配り終えて

最後に一番腐れ園の幼馴染に渡す

そうすると幼馴染が言い出した


「いつからかなお前が手作り止めたのは

確かいじめに来る奴が居て

そいつに散々な批評を食らってからだよな

無理やりチョコ奪っといてあれはないと思った


だから凄く大喧嘩に俺はしちゃったんだよなぁ」


「そうだね、でも今のが楽だし結果的には良かったかも」

幼馴染はじーっと女の子を見つめてくる


「なにか言いたげだね」

「俺食べたいなまた、お前の手作りチョコレート」

「私の下手なチョコレートなんかいらないでしょう

その袋一杯のチョコレートの中に

絶対に手作りチョコレートの一級品入ってるはず」

「誰かの手作りには興味ないなぁ

俺はお前の手作りチョコレートがまた食べたいの」


女の子はコイツは言い出すときかないんだよなと思いつつ

「OKOK、じゃあ時期がすこしズレちゃうけど

君の分だけ作ってしんぜよう」

「おー、サンクス。楽しみ~」


材料を買って帰り

忘れかけた知識を頼りにチョコレートをとかす女の子

なんだって、手作りを急に欲しがったのか考えてた


『俺はお前の手作りチョコレートがまた食べたいの』

その意味するところに気が付いて

少し顔をほてらせながらチョコレート作りを続けた女の子でした


次の日、いつものように当たり前に一緒に昼食を取る時間

女の子は催促されてチョコレートを取り出します

少し小声で女の子が聞きます

「これって、ほんきですよって取っていいのかな?」

「なにが?」

眉をひそめる女の子

(違うのか・・・)と思ったところに

「ああ、てか、俺はいつだってほんきでいたぞ?」

「・・・モテルから、いくたあまただと思ってた・・・

昼のこの時間だけか幼馴染の特権だと・・・」

「まぁ、取り巻きいるもんな

昼休みだけは俺の時間として散らしてるけど

でも、その取り巻きの中の俺の横に居てほしい

特別でいてほしい」

女の子は難しいことを言うとため息がでてしまいます


「ダメか?」

「チョコレート・・・作るよりはるかに難しい・・・

でも・・・今よりももっとそばに居られるなら頑張るよ」


こうして幼馴染のふたりは

その日から恋人になりました


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