お城で愛玩動物を飼う方法~わたくしの小鳥さん達~
月白ヤトヒコ
第1話
わたくしには、飼っている小鳥がおります。
綺麗な声で歌う小鳥さんと、綺麗な音を奏でる小鳥さん。
わたくしの我儘で・・・檻の中へと閉じ
わたくしは幼少期より、王族へ嫁ぐよう両親に繰り返し言われました。
「王族に嫁がないのなら、お前に価値は無い」
と、物心付くよりも前から、そのように教育を施されて育ちました。
両親と触れ合うよりも、貴族令嬢としてのマナーを覚えることが優先でした。
教養を身に付け、自国の歴史や地理を覚えれば、周辺諸国の歴史や地理を。
殿方を立てる為の振る舞いを。
ダンスレッスンを。
洗練された立ち居振る舞いを。
優雅に見える所作を。
美容を。会話術を。
各貴族達のパワーバランスを。
朝から晩まで入れ替わり立ち代わり、様々な教師達に囲まれる日々。
そういう風に、わたくしは育てられました。
幼いながらも自由時間は
弱音を吐けば、叱責されました。
できないことがあれば、できるようになるまで何度も何度も何度も執拗に繰り返させられました。
甘えられる相手も、遊び相手もおらず、皆がわたくしへ期待を掛ける。
わたくしはいつも余裕が無くて、常に緊張し、いっぱいいっぱいでした。
叱責に、落胆の溜め息に、失望の眼差しに、わたくしはどんどん追い詰められていました。
けれど、それを弱音で吐くことも、表情に、態度に出すことさえも許されませんでした。
だからわたくしは、薄い微笑みを常に浮かべ続けました。それ以外の表情を、忘れてしまう程に。
そんなある日のこと。
将来の為にと、わたくしは孤児院を訪問しました。
高貴な夫人の嗜みとして、慈善活動は必要不可欠。慈善活動として金銭支援だけをするのと、直接現場へ赴いて相手と触れ合うのとでは、受ける印象が違います。
更には、大きくなってから偶に孤児院を視察して、嫌悪感などを露わにしてしまっては、あまり
幼い頃から、ある程度は孤児院に慣らしておこうという画策だったのでしょうね。
そんな周囲の思惑で連れて行かれたとある孤児院で、わたくしは――――
美しい音に合わせて、綺麗な声で歌う小鳥さんに出逢ったのです。
粗末な衣服に痩せこけた身体。けれど、一度声を上げてメロディーをなぞれば、その美しい声が孤児院の中を満たしました。
美しく、とても優しい響きの唄声に、幼いわたくしは深く安堵を覚え……惹き付けられ、魅了されてしまいました。
そして、幼かったわたくしは――――なにも考えず、父へお願いをしてしまいました。
「あのお唄がきけるなら、毎日のお勉強をもっとがんばれる気がします」
それを聞いた父は、思案するような顔をしてわたくしへ言いました。
「いいだろう。ただ、アレを家に入れる為には準備が必要だから、
それを聞いたわたくしは、無邪気に喜んでしまいました。父の言った
――――愚かなわたくしは、自分のことしか考えていなかったのです。
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