第二部序 IVレポート2

 このころのわたしは『映像』だった。

 まだ実体はなかったけど姿を持つことができた。

 相変わらず人に触れることはできなかったけど、

 その代わり表情や仕草によって感情を相手に伝えられるようになった。

 あの人はわたしの姿を見て驚いていた。

「女の子だったのか……」

 間の抜けた顔でそんなことを言っていた。

 わたしは小さな少女の姿をしていた。

 艶やかな黒い髪と赤みがかった瞳。白いキャミソール。

 この前、どこかの建物の上で出逢った女の子と同じくらいの年頃。

 わたしはまだ生まれたてだ。

 この世界に生まれ落ちてからまだ二週間も経っていない。

 わたしはまだ人という存在をよくしらない。

 きっとそんな未成熟さが彼女と同じ年頃を形作ったのだろう。

 無垢さと危うさを纏ったこの姿を。


 もっともまだわたしが見える人と見えない人がいるようだった。

 今日、あの人を訪ねてきた茶色い髪の彼は私が見えていないようだった。

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