第1話

僕はこの春大学生になった。

第一志望だった場所だ。心が弾まないわけがない。

入学式に先駆け説明会が今日ある。ここで初めて自分のクラスの子たちと会うのだ。さらに心が弾む。踊り出す。


ここが今日の教室らしい。

ふと心配になる。

大学デビューするべきだったか。普通に黒髪、特におしゃれでもない服装。

まー、いいか。自分はおしゃれな人間ではないし、陽キャじゃないし、田舎出身だし。

慣れないことしたって続かない。

時間もぎりぎりだ。さあ、入ろう。深呼吸をする。


扉を開ける。新しい建物だからかガララなんて音は鳴らない。スムーズに開くのだ。素晴らしい。高校のあのぼろぼろ校舎に慣れていた僕にはこれだけで泣ける。


あぁきれいな教室だ。机だってきれいだ。大学生になったんだ。

自分はほぼ最後なのかな。席はほぼ埋まってる。

あぁ大学生だ。制服なんて誰も着てない。みんなかわいくておしゃれだ。


自分の席を探し座る。落ち着かない。

あぁ緊張する。

落ち着かない。

緊張してるのか?

落ち着かない。

違う。

落ち着かない。

みんなかわいい?

??

???



男は?


「こんにちは。学部長です。説明かーいやるよー。」

説明会が始まった。


始まった?全員集まったってことだよな。


男は?


手元に名簿がある。


あっ男俺一人なんですね。

ええわかります。

もともと男子少ないとこですもんね。



は?



少ないっていっても一人だったことはないだろーが!30人だぞ!この学部!


え?


俺、男子校出身なんだけど…


気付けば説明会は終わっていた。

周りのこたちは友達を作り始めた。

もちろん僕のとこには誰も来ない。

僕だって行けない。男子校だったのだから。

女子となんかしゃべってないんだから。


ちょっと前まで踊りまくっていた心は微動だにしなくなっていた。

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