第9話
『毒が入ってるの!』
『は?』
『言い忘れてたけど、この対面こそが、あたし……ネロたんがシエロたんへのメンヘラ化する道の第一歩だから。お茶もお菓子も、絶対に口を付けないで。触っちゃ駄目よ』
『あ、ああ。わかった』
厳しい声と真剣な表情に頷くと、
『側妃と愛妾のごたごたって言えばわかるかしら? 幼少期のエピソードに、シエロたんの毒殺未遂事件があるの。そしてこれはね、ネロたんの母親が、シエロたんに仕掛けたのよ』
ねーちゃんが顔を歪めて、
ネロの母親が、今日のお茶会で、愛妾の面影を色濃く宿すシエロを害そうとする。けど本当は、仕込んだ毒を飲むのはネロとシエロのどちらでもよくて、シエロの排除を企てている。
そして、この事件をきっかけにして、シエロはネロのことを敵だと思うようになる。
ルートはプレイヤーの選択肢によって、弟か妹(本当はどちらもネロだが)とのお茶会になるらしい。
そして、
また、ネロが
ネロは、それが母親がやったことなのだと気付いて顔面蒼白になり、シエロはそんなネロを犯人だと思うようになる。
ネロは、シエロのお見舞いに行くが断られてしまい、それならとネレイシアとしてお見舞いに行くことにして、以降は
一人二役で同一人物なのに、シエロは
そして、シエロに並々ならぬ愛情を向け――――
というのがネロルートになるらしい。
ねーちゃんが
『まぁ、なんつーか……病むわな』
話聞いただけで重くてつらい。
『でしょ? ある意味、両親に興味を持たれなかったネロたんだからこそ、
『今更なんだが、ねーちゃんの方は大丈夫なん? なんかこう、ネロのおかんの性格がすっげーキツそうなんだけど? 自分の子が毒飲んでもいいって、信じらんねぇ。本当に母親なのかよ』
『大丈夫大丈夫、いざとなったら姉ちゃん、あのクソアマ牢獄ぶち込んででも止めるから。尊いシエロたんには、指一本触れさせないわ!』
『ねーちゃん。今、
『だってマジでクソな性格してんだもん! まぁ、あたしの方でも気を付けたり、邪魔したり、工作は色々と頑張るつもりだけど。アンタも、最低限自分で確り自分の身を守りなさいよ? あたし、また若い身空のアンタの葬式見るのは、絶っ対に嫌よ?』
『わかった。気を付ける』
神妙に頷くと、
『一応、シナリオ通りに気を付けていればある程度は大丈夫そうではあるけど・・・心配だわー。ああもう、本っ当、心の底から心配だわー』
なんかめっちゃ不安そうにされた!
『いや、そんな心配しなくても……』
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