僕は誰も救えなかったけど君となら救えるはずだった

水斗

1話今ある幸せに

プロローグ

「はぁはぁはぁ……」

息が荒く、身体が重い。

「なぁ?苦しいか?死にたいか?それとも生きたい?」

左腕が切断され、出血多量で意識が遠のく。

「僕は……必ず助けたい人がいるんだ。だから、死ぬわけにはいかない……」

だが、意識を保つだけでもきつい。

「それでも叶わない事だってあるのが現実なんだぜ。」

黒い影で覆われてる人型のシルエットが言った。

「そして、お前は無駄死にする。じゃあな!あばよ?綾辻綾人あやつじあやと!!」

僕はその日死んだ。

これはありもしない記憶。

だが、どこかで体験したかのような現実味があった――――――――――


 僕はある少女二人に出会い、翻弄されきた。

 その運命から逃れるために、田舎から都会に引っ越した。

 だがしかし…

「なんでお前らが同じマンションにいるんだよ…」

「君が私たちについてきて欲しいって言ったじゃん?」

「そうだよね!」

 僕は意味のわからなさに呆然とした。

 僕が彼女たちを嫌うようになったのは3年前に遡る。

 彼女達は小学生の頃からよく仲良くしていた。

 しかし、中学生になり、僕にも好きな人ができた。

 そして、付き合うことになり、彼女達と遊ぶ時間が減っていった。

 ここまでは僕が悪い。

 しかし、彼女たちは僕のデートする時間をよく邪魔をしたり、デートの準備をしていた金やプレゼントが無くなっていたり、そしてだらしない男だと太鼓判を押されてクラス中に噂が広まった。

 さらに、彼女から「だらしない人嫌い」と一言…。

 それを機に結局彼女と別れ、僕の中学校時代の青春は幕を閉じた…。

 入学式彼女達と一緒に登校することになり、内心イライラしていた。

 桜が満開で風でヒラヒラと散っている姿はまさに風情を感じる。

 僕たちが今年から通う東京市立桜ヶ丘さくらがおか学園の校門をくぐり抜け、玄関に向かう(足早に)。

 クラスを確認。

 げ、アイツらと一緒だと!!

 モニターに4クラスひょうじされてあってA 、B 、C、Dクラスと分けれている。

 僕と彼女達はCクラスだった。

「やったー!!四人とも一緒じゃん!!」

 僕の右隣の黒髪ロングの清楚感だけ醸し出しているギャルが言った。

「三人じゃなくて?」

 僕は素朴な疑問を問う。

「何言ってるの??君の元カノも同じクラスじゃん!

 」

「はぁぁぁぁー!!?」

 僕は心の中で絶叫した…

 ―教室―

「担任の富田です。今日の日程はホームルームと入学式で授業は終わります。」

 と先生が説明を始めたが僕は全く耳に入ってこなかった。

なぜなら僕の席はセンターで両隣にアイツら。

 そして、僕の後ろに元カノの月夜雪つきやゆきがいる。

「えーうちの学校は全寮制なので学園都市内である程度の娯楽を含めた施設が充実しております。」

 と先生が淡々と説明を続けている。

 ホームルームが終了し、10分の休憩に入った。

「なぁみんな自己紹介しない?みんな仲良くするために!」

 と先ほど質問していたイケメンがみんなに呼び掛けた。

 ちらほらうん、良いね、とか肯定してくている人がいる。

 もちろん僕も彼女達も肯定している。

「じゃあ、まず僕から。篠崎優介しのざきゆうすけです。趣味は多種多様なので誘ってくれたらみんなが楽しめるならなんでもするよ!よろしく!」

 と順番に自己紹介をしていく。

 ついに僕に順番が回ってきた。

「僕の名前は綾辻綾人あやつじあやとです。趣味とか特に無いですが遊びに誘ってくれたら参加します。よろしく!」

 僕の自己紹介を終えた後先生がドアを開け、入ってきた。

「今から入学式があるので出席番号順に廊下に並んで下さい。」

「みんなまた今度話そう!」

 とイケメンが言い整列を始めた。

 入学式が終わりそのまま帰宅した僕は今の現状に不快な気分に陥ってた。

「なぜ君たちが僕の部屋にいるのさ。」

「暇だしね!」

「うん。」

「君たちがしたこと許した訳じゃないんだけど。」

 と僕は少しトーンを落として言った。

「そうだよね。ごめんね。感じ悪いよね。」

「私もごめん。」

 僕は素直に謝罪されたことに困惑した。

「そんな事言われても今更許せない。唯葉ゆいは春乃はるの。」

「だけど、一つ条件でしてもいい。僕が何かをすることに対して邪魔はしないで欲しい。」

 そう伝えたが小柄で黒髪ショートのおとなしい唯葉が聴こえるか聴こえないかの小声で恥ずかしそうに呟いた。

「なんでそんなこと言うの?……」

 僕は敢えて聞かなかったことにした。

それが僕たちの関係を保てる唯一の方法だった。

―朝―

 いつも通り目覚めしのクラシックが鳴り響いた。

 まだ眠たいが、7時に起床した。

「はぁー……」

僕は腕を高く伸ばし、欠伸あくびをした。

 スズメの鳴き声が遠くから鳴り響いている。

「おはよう綾人。今日もちゃんと起きたな!」

 シャワーから上がってきた翔は開口一番にいつもの日課の挨拶をしてきた。

「おはよう翔。今日も朝からランニングか。」

 僕はカーテンを開けて眩しい直射日光を浴びる。

「じゃあ僕はシャワーを浴びるから。」

「おう!俺は朝食の支度しとくわ。」

 15分後…

 僕がシャワーを浴び終わってシャツと短パンに着替えてダイニングテーブルをみてみると朝食が並べられている。

 今日の朝食はベーコンエッグトーストと牛乳とヨーグルトのようだ。

 僕は木で加工されている椅子に座り、

「今日もありがとう。それじゃあいただきます!」

 二人でたわいも無い話をし、学校の支度をし、二人で待ち合わせの玄関ホールまで歩いて行った。

 玄関ホールの装飾はシャンデリアが光を灯しており、ソファに二人の少女が座って待っていた。

「相変わらず時間ピッタリだね!二人とも!」

 今日も春乃は元気な声で上機嫌らしい。

「おはよ。二人とも。」

 唯葉もいつも通りおとなしいけど可愛らしい声で挨拶してくれる。

「二人ともちーっす!」

翔は軽く挨拶を交わし、

「おはよう〜。」

僕は通常運転の眠そうな挨拶をした。

 ―学校―

 1週間も経てばグループや人間関係が出来上がっていっている。

 ちなみに僕もグループに入っている。

 翔が率いるグループであり、メンバーは翔、春乃、唯葉そして、僕だ。

「今日は部活無いしどこか行く?」

「僕は部活??あるんだが…」

「同じく!」

 僕と春乃と唯葉は同じ部活??に入っている。

「そっかぁじゃあ俺も参加しようかな!」

翔は笑いながら言った。

 ―放課後―

 僕の部活??なのかわからんが暇人同窓会に参加していた。

「先輩は彼氏とかいるんすか?」

 翔は芦田碧あしだあおい先輩に問う。

「なになに気になるの〜?それとも翔君は私のこと好きだったりするの?なんちゃって!」

 先輩は嬉しそうにニヤニヤしながら茶化す。

 確かに先輩は眼鏡を掛けていて空の様な青髪長髪が似合う。

 それにスタイルも抜群だ。

「そんな事より本題に入りませんか?今日の依頼は?」

 僕はそう尋ねると…

「いつも通りないよ〜!」

「ですよね〜。帰ります!」

 立ち上がって出口に振り返った瞬間

「待ってぇ!お姉さんともっと一緒に遊ぼうよ〜!」

 後ろから抱きつかれた。いつも思うけどこの人大胆だよなと思ってしまあ…

「やめて下さい!胸当たってます!」

 柔らかい感触が背中に伝わる。

 先輩は勢いよく離れた。

少し照れてるようだ。

「ごめんごめん!」

「全く他の人にはしないで下さいよ!」

「それって僕以外の野郎にはするなって事?綾人君って意外とムッツリだね〜!」

 周囲を見てみるとなんかみんなに引かれているので訂正せねばならない。

「揶揄しないで下さい!僕以外の人だったら勘違いする人もいるかもしれないからですよ。」

「何言ってるの綾人君しかしないよ?なんてね!綾人君可愛いぃ!」

 この先輩のからかい癖直さなきゃこの先きっと痛い目みるだろう。

「とにかく帰ります。僕はだるいんで。」

「ちぇ〜ノリ悪ぃ…。」

残念そうな顔をしている先輩だった。

「わかった!また部屋でな!」

 翔は手を振ってくれた。

「私たちはもう少し雑談してるね!」

唯葉も何か言いたがっていたがおどおどしていて言葉を発せれないようだった。

「唯葉もまたな。」

僕は唯葉にそう言いその場から立ち去った。

 僕は正直あまり人付き合いは好ましくない。

 しかし、みんなとはしゃいだり何かしたりすることは好きだ。

 僕は現在時刻を確認するために鞄から携帯電話を取り出そうとしたが見当たらなかった。

 ………教室に忘れたのかな…

 教室に戻ると白いカーテンが風によって揺れている。そして、人影が見えた。

 それが彼女と出会いであり、物語の始まりだった。

 その容貌はまるでこの世には存在しないと思えるほど美しくさもあり、可愛さも併せ持つ銀髪の美少女が立っていた。

 髪型は長髪で一本一本が夕暮れの紅色に照らされていて幻想的だ。

「君はこの学校の生徒さんかな?」

 優しく可愛らしい声で問い掛けてきた。

「そうですが。貴方は?」

「私?私は明日からこの学校に転校するものだよ。」

 彼女微笑んだ。

 そして、僕に一歩に二歩近づいてくる。

「君は私に似ているね。何かを心の奥底に隠している。まるで本来の自分を覆い隠すために偽りの自分を演じてるみたいだね。」

 僕は何故か胸がざわついた。彼女が何を言っているのかわからないが心の奥底では肯定してるように感じがした。

「ちょっと何言ってるのかわからないんだけど…」

急にそんな事言われても困惑する。

「ごめんなさい。私何か言っていてましたか…」

 急に恥ずかしがり屋になった彼女はさっきと別人に感じた。

 変な子だなぁ。

「で君は何をしてるの?」

「えぇーと転校手続きもして図書館に行ってからいつの間に教室まで行ってたの。」

「なるほどいつの間かね。」

 やっぱり変な子だ。

「あの〜私まだ来たばっかりで施設がわからないからもしよろしければ一緒に行動してくれませんか?無理だったら良いです…。」

 彼女は持っていた紙を口元を隠しながら恥ずかしそうにいってきた。

 正直不思議な子だなって思ったがなんだか唯葉を見てる感じでほっとけなくなった。

「良いよ。じゃあ僕が案内するよ!」

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