春だった

@mohoumono

第1話 春だったのか

綺麗な桜が見える。

風に吹かれて桜は散る。

その光景はコマ送りされているかのように

見えた。


パラ、パラ、

アルバムを眺めるように

ゆっくりと時間は過ぎていく。

ワンワンワン犬に吠えられた。

片手には、

二人で分けられるアイスが

一人分よりほんの少しだけ多く

分けられた状態で握られていた。

僕は目を瞑る。


綺麗な夜空が窓の外に見える。

そして綺麗な桜も

その桜は風に吹かれ、校内に侵入してくる。

それに合わさるように綺麗なピアノの音が

閑静な校内で響く。

ワンワンワン犬が教室の外から吠える。

僕は、それに惹かれピアノの演奏者を置いて

犬についていった。

ガラガラガラドアが勝手に開いた。

そして、片手には、

二人で分けられるアイスが

一人分よりほんの少しだけ多く

分けられた状態で握られていた。

教室に飛び込む、そして目を瞑る。


小さい部屋に白い天井が見え、

人気がない部屋にいた。

そこには、一つの窓があり、

遠くの方に河川敷があり、

その近くには、桜並木があり

整列させられた桜は、下を通った人に向けて

花びらを降らせた。

僕は、いつの間にか窓辺に座る。

窓の外の景色が見えないように。

そういえば暑い、今は春だった。

この暑さだ。

アイスは溶けて、足元に落ちる。

一滴、二滴、三滴、

少年は、アイスを半分だけ残した。

自分が少食なのを忘れていたから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

春だった @mohoumono

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る