第3話 月のひかり

かぐや姫さま

そろそろ仕事から帰ります


もう少しいてください

権助さま


ご主人様にお叱りを受けます


大丈夫です

少しの間ですから


かぐや姫さま

今日は何も話さないのですね


権助さまが

そばにいるだけでいいのです


そういえば

もう、暗くなりましたね

夜空に満月がでています

かぐや姫様

どうして

そのような悲しい顔をしているのですか


いえ、気のせいです


権助さま

私のことをどのように思っていますか


それは

言えません


そうですか


しかし

かぐや姫さまのためなら

この命を捧げてもいいと思っています

それが私の気持ちです

でも

ご主人様が


私のところに

毎日のように貴族の方が参ります

でも

心はそこにはありません

どうしてか

わかりますか


それは


そうです

権助さまが

いとおしいからです


かぐや姫さま

私は

しょせん

庭の手入れをする者なのです


そのような悲しいことは言わないでください


どうして

かぐや姫さまといっしょになれるのでしょうか

ご主人さまが許しくれるはずがありません


そうですね

それだけは私の力でも


私の力とは


いえ、気にされないでください

でも、お願いしてみます


かぐや姫さま


大丈夫だと思います


でも、駄目だったら

もう会えないかもしれないのですよ


そうですね

私はどうすればいいのでしょうか


ここで話ができるだけでいいじゃないですか


わかりました





お父様


どうした

かぐや姫


私はどうしても貴族の方と

一緒にならないといけないのですか


もちろんだ

まさか

権助などと一緒になるかと思っていないだろうな

実は隣の家の方から

権助と仲良く話をしているのを見たと聞いたが本当か

それなら

権助は明日にでもここの仕事をやめてもらうぞ


いえ

権助さま


なに

権助さま


いえ

権助とはたまたま話をしているだけです


そうか

それなら良い

お前もいつも一人きりだから

たまに話をするくらいなら良い


はい




権助さま

私はどうすればよいのでしょうか

貴族の方とはいっしょにはなりたくありません

どうか

そばにいてください

月が

月が

どうして

権助さま




かぐや姫さま

今日は元気がないです

昨日のことは仕方ありません

私とかぐや姫さまは

身分が違うのです


権助さま

そのような悲しいことは言わないでください

私は

いえ


かぐや姫さま


権助さま




月よ

私に力を与えて下さい

でも

これだけは駄目なのですね

どうか

満月だけにはならないでください

それだけでも

お願いをきいてくれませんか

月の光が美しくいですが悲しく見えます

どうか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る