第59話 結婚式〈けっこんしき〉
与えられた業務はきっちりこなすもののそれ以上の事はせず業務自体前向きではない。
人付き合いは悪く同僚と接する時も不愛想であり、業務終了後には即帰宅する毎日だった。
年齢を重ねたせいか、不摂生が祟ったのか体型も小太りになっており若き日の面影は無くなっている。
更には最近は頭髪が薄くなりつつあり年々髪が後退していく有様だ。
会社での着衣も毎日同じ様なスーツばかり着ており、シャツなどはヨレヨレでアイロンなどかける事は無い事を想像できた。
近年、本格的に業務に導入され業務の必需品となりつつあるパソコンが大の苦手であり、苦手であるが故によくモニターとにらめっこしていた。
そのせいか最近は視力も落ちつつある。
最低限の仕事しか行わず、人付き合いは悪い、見た目も不格好となれば人に好かれる要素などない。
更にたちが悪い事に
本人が釈明すらしていない状況である。
噂となった話は全て当人が認めているものと判断されつつあった。
とある休日の日、
故郷に居る
唯一心許せる存在である
「
当然
結婚が決まれば一般的には結婚式を行う。
だが式を行う資金は二人には無かった。
だがそれは
資金が貯まれば式をやるつもりでいたのだが、
子供というのはやたら金が掛かる。
そういった流れで有耶無耶になっていた
結婚というのは女にとっての夢だと聞く。
人生の主役になれる結婚式を
せめて式を行う事で夫婦という絆を証明したかったのかもしれない。
何かの間違いか冗談なのか、結婚をした事のない
今更、式を挙げるにせよ肩苦しいので身内だけで式をやるつもりのようだった。
最初は
花嫁の衣装はどうするか、指輪の石は何がいいか、いくら聞かれてもさっぱり答えられない。
真剣な
解らない事は解らないとはっきりと物言う。
逆にそれが良かったのだろう、
誰かに話を聞いてもらいたかっただけかもしれないが、
だが今回の
「実は
「
「
「結婚式なんて余計な出費だと考えているんだろうな・・・。」
そういった思考では女の方がリアリストである。
むしろ男の方がロマンティストなのかもしれない。
「だがな、結婚式って女にとっては大事な物だろ? ウエディングドレスなんて憧れだろ?」
「それをしなくていいなんて、我慢しすぎじゃないのか?」
だが実際式を行ったら、喜ばない訳がない、失礼な言い方だが
「なに、実際式を行う事になったら
「そーだよな!
相変わらず夫婦仲は良い様だ。
「それに式くらいあげさせてやらなきゃ男の立場も無いしな・・・。」
その意見には同意である。
「
「今後の資金の事を心配して居るなら、俺が結婚式代送りつけるぞと言ってやれ!」
都内にボロアパートを借り、趣味も特にない。
正直金の使い道がない。
当月の給料を使い切る事の無いまま、次の給料が振り込まれていく。
ボーナス等も使えずじまいの有様だ。
金は大事な物だとは理解しているが、口座にいくら預金があるかあまり意識した事はない。
「ありがとな
「正直、式をやりたいって事ばかり話して俺の気持ちは話してなかったよ。」
「それに
「何とか
数日後、
この事を話す
夫として一つの責任を果たせると喜んでいた。
今更式を行うと言われれば確かに遅すぎるのかもしれない。
だが
二人の結婚式が今から楽しみである。
当日は
素直に祝福してやるとするか・・・。
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