第9話 誓い〈ちかい〉
わたしは『おかあさん』 になりたかったんだよ。
あなたに愛され続けられた『おかあさん』 に・・・。
でも『おかあさん』 の事はわたしはあんまり知らないの・・・。
だから写真の中の『おかあさん』 に近づけるよう頑張ってきたんだ。
だけどそれ以外の『おかあさん』 の事は解んないの・・・。
結局『おかあさん』と私は別人なんだ・・・。
わたしは『おかあさん』 にはなれない。
わたしはずっと『おかあさん』に嫉妬していたんだよ・・・。
だけど気付いたんだ、わたしは『おかあさん』と違うから。
わたしなりに頑張ってみるって・・・天国の『おかあさん』に誓ったよ・・・。
冴えない中年社員の
誰もがそうであろうが、この
いや、『眩しい』は少し大げさな表現かもしれない。
もし過去の自分に合うことが出来たとして、そう問いかけると一笑されてしまうことだろう。
だが、現在の
午後の業務を終え帰宅の準備をしている
黒いアームカバーを机に押し込み、上着を羽織りオフィスを後にした。
社員通用口に向かっていると
「
「
大手電力会社に勤め人事部に居たらしい、その後子会社への出向をしそこで定年を迎え現在は
人となりは非常に温厚で老紳士といっても差支えのない人物である。
社内の嫌われ者である
「
元々強くはないが酒はそれなりに好きだった為断る理由もない。
「良いですね。行きましょう!」
二人は社員通用口に向かった。
社員通用口、守衛所受付の前
「おじさん!一緒に帰ろ!」
一緒に帰るも何も
恐らく駅地下周辺を散策し
だが今日に限っては
「
その言葉に不満げな表情を見せる
「えーっ、また
「おじさんの浮気者・・・。」
「たまにはわたしも連れて行ってよ?」
上目使いで同行を求める
だが
「
「ましてや、
茉莉は両手こぶしを握り、脇を締め
「つまり、わたしにとっての最大のライバルが
その言葉に周囲の空気が凍り付いた。
その様な雰囲気にも関わらず
「
何を言っているこの小娘は・・・。
「
その発言をすると
ライバル宣言をした
「さて、冗談はここまでにして・・・。」
突っ込みどころはあったが、今の
かまわず
「今日は泣く泣く
「そうじゃないとフェアではないですからっ!」
「でも残念ながら、明日はシフト的にお昼はご一緒出来ないのです。」
その業務の特性から、昼休憩時間も受付は稼働している。
その為、休憩時間もシフトによって変動する。
明日は通常社員が休憩する時間とずれた休憩時間となっているのだろう。
「ごめんねおじさん、寂しい思いをさせて・・・。」
また
もう半ばあきらめの方が大きくなっていた。
「でも、わたしはおじさんに寂しい思いはさせたくない!」
余計なお世話である。
頼むからほっといてくれ・・・。
「幸いおじさんと私は帰宅時間はほぼ一緒です。」
「だから明日はわたしがおじさんとデートしてあげます!」
最初からこれが目的だったのであろう。
茉莉は右手人差し指を立て
「明日は、残業厳禁!」
「これはわたしからの業務命令です!」
命令権すらない
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