悟りゲーム 復讐編(パート8)

@sorano_alice

第1話 赤の7

横口未来(よこぐち みらい) ベージュの髪をした優しい少女、芯が強く、善人、その言葉が一番ふさわしい人物。合唱部に所属している。とある人物に心を開いてもらうと誓った。とある人物の自殺を阻止することを決意。

 黒龍連(こくりゅう れん) 赤い髪と少し長い髪の外見。高校最強の武力を持つことで有名な男性。この地域で名を知らない者はいないだろう、暴力で支配してきた。それなりに人望も高い。また、相手の目を見るだけで大体の相手の特徴を掴むことができるという感を持ち合わせているがどうしてもどうつかみきれない相手が一人いるらしい。何としても本性を暴く模様。高校一年生。

 新谷朱音(にいや あかね) ピンクのロング髪と小悪魔的性格で都市伝説や噂話などが好きな情報通。高校一年生。親友は横口未来。バドミントン部に所属していることが判明。また、将棋が上手い。とある人物を自分のものにすると誓った。独占欲が異常に高い。

 花野アリス(はなの ありす) 初めはいじめられていた黒いパーカー服を着た青い髪の三つ編みの小柄な少女、自殺願望者であったが未来やほかの仲間たちに出会い徐々に心を開き始めている。中学一年生。とある人と絶対に興味を示すようなゲームを作ると約束した。自分一人でも困難に立ち向かい理想の人物になって見せると決意。

 明智香(あけち かおり) 銀髪ロングの髪をした中学三年生。その可憐な姿とは裏腹に運動神経抜群。今は引退したが元女子テニス部の部長をしていた。落ち着いていて冷静である。とある人物に何としても先輩としてテニス部に興味を持たせると誓った。

 天野天理(あまの てんり) 赤髪ロングの中学一年生。服装、私物、あらゆるほとんどのものが赤、テニス部に所属しているが控えめに言って下手。黒龍連が唯一つかみきれない相手でもある。その他チェスが上手い。今回の参加者の中では一番謎が深い人物。何事にも興味を示さない。たとえだれであろうと信じないと決意。

 大道寺さくら(だいどうじ さくら) 短髪のいかにもスポーツガールという言葉がふさわしい、運動神経抜群、明智香と天野天理とは同じテニス部で大親友。しかし、頭はよくない、馬鹿と言われることもしばしば、常にポジティブ思考。アニメが好きでSNSでは自分の好きな男キャラになり切って話すことが多いらしい、いわゆる中二病。中学一年生。ゲームを通じて少しずつではあるが実力を認められつつある。とある人物に必ずふさわしい実力者になると約束した。

 


 11月もそろそろ終わる。

 未来はいつも通り学校へ登校し教室の席へ座っていた。すると朱音がやってきた。


「おはよー未来」


「おはよう朱音ちゃん」


「そういえばもうちょっとで未来の誕生日だね」


「そうだったね、完全に忘れてたよ」


「誕生日パーティー開く?あー、でも平日か」


「別にそこまでしなくてもいいよ、合唱部もあるし」


「夜でもいいよ、でも二人は寂しいよねー、誰か誘う」


 そんな時、黒龍が部下たちを引き連れ席に座ろうとしていた。


「あ、黒龍さん、おはようございます」


「おう、未来と朱音か、俺に話しかけに来るってことはアリスのゲームができたのか?」


「黒龍さんって私の誕生日パーティーとか来ます?」


「は?馬鹿かお前、そんなくだらねぇモン行くわけねぇだろ、未来と朱音で行くんだろ?女共で楽しめ、アリスのゲームは別だけどな、興味がそそられる」


 黒龍からは断られてしまったがアリスのゲームに関しては待ちわびているようだ。


「おう、そっかー、男の人誘うっていう手もあったね、でも天理ちゃんと付き合ってるんじゃなかったっけ?でもあたしたちアリスちゃんのゲームで黒龍さんとか他の人たちともすごく仲良くなれたよねー」


「そっか、天理ちゃんに失礼だったね、アリスちゃん達も誘ってみたいけど場所が離れてるからどうかな?」


「誘ってみるのもいいかもね、一応ゲームを通じてアリスちゃんは携帯持ってないけど他の人とも連絡取れるし」


「じゃあ一番の上級生の明智さんに誘いを入れてみようかな」


「りょーかーい、駄目だったら二人でもいいねー」


「そうだね」


 数分後、明智に誕生日会に行かないかと未来からメッセージを送ったが予想外の返信が届いていた。


『誕生日おめでとうございます未来さん、しかし、申し訳ございません。私たちの地域ではとある噂で絶えないでいて7時は特に危ない時間でもあり行きたいのですが行くのが困難かと』


 そのメッセージを読む二人。未来も情報通の朱音すらわかっていないような何かが起きているらしい。



 そんな明智の地域の中学校。前とは環境が逆転していた。かつてアリスをいじめていた人間がいじめられている。しかし、天理もアリスもさくらもいじめには加担していない。その光景を興味なさそうに見る天理。

 その光景はいかにも異常、アリスとさくらは困惑している。

 かつてアリスをいじめていた人間に今いじめている人間は言うのだ。とある場所に行けと。


 天野天理はさぼることなく部活に行っている。もちろんさくらもテニス部所属で一緒にいる。しかし今日は天理は部活途中で頭が痛くなったらしく途中で帰ることに。さくらは心配そうに見守ることしかできなかった。

 天理は常に何を考えているかわからない。時刻は5時過ぎ、部活を早退した天理は路地裏に向かっていた。そして噂の人物へと変貌する。赤いフードを被ったその人物は6人の人物が待つ場所で立ち止まる。逃げようとする6人。


「待て…」


 その一言で一同を制止する。

 天理はそのうち一人の男子生徒を鷲掴みにして壁に叩きつけ蹴り上げた。


「次逃げようとしたらこうなるぞ…」


 五人は震えるように天理を見上げる。


「イラつくなぁ…」


 天理は何かの衝動に耐えられなかったのかもう四人を叩きのめして玉砕する。

 残ったのは女子生徒一人。


「お前にするか…名前は…?」


「き、北岡です…」


 北岡と呼ばれた女子生徒。


「なんでこうなったかわかるな…?」


「え…?」


「お前たちはアリスをいじめたいじめっ子だ、ならば逆の立場になってもらう、お前には暴力以上に恐ろしい恐怖を味あわせてやる…」


 それだけ言うと天理は行ってしまった。北岡という人物には手を出すことはなく。

 北岡含め他五人のメンバーはアリスをいじめていた存在である。


 天理と入れ違いでやってくるピンクの髪をした高校生くらいの生徒。北岡の前で立ち止まる。


「いいこと教えてあげるね、アリスちゃんに手を出すってことは間接的に天理ちゃんに手を出してるってことでもあるからあまりあたしのアリスちゃんと天理ちゃんを敵に回さないほうがいいよー」


 北岡は尋ねる。


「あ、貴方は」


「あー、あたし?新谷朱音だけど?明日アリスちゃんの気持ちがわかるんじゃないかなって天理ちゃんからの伝言だよ」


 それだけ言うと朱音は北岡と呼ばれる生徒から立ち去った。

 天理と朱音は組んでいた。



 夜の7時、辺りは暗い。路地裏では悲劇が繰り返されていた。相手は一人の少女、にもかかわらず上級生、男子生徒ですら抵抗する意思はなく白旗を上げる。問答無用でその生徒たちを壊滅させる赤い彼女。

 この地域ではこの時間帯を赤の7と呼んだ。7時という意味と赤い彼女自身を7とし、噂話に発展した。

 すると彼女は意外な人物に出くわした。


「やっぱりね、天理ちゃんなら何か裏があると思ってたからねー」


「さくらか…」


「いつまでこんなことを続ける気?何の意味があるの?」


「復讐だ…いじめる側にはいじめられる側の気持ちを備え付ける必要がある…私もアリスも似たような存在なのだから…」


「でもアリスちゃんはこんなこと望まないと思うけどねー、もう見てられないし私が止めるよ」


「私の邪魔をする気か…アリスをいじめてないにしても私の秘密を知っている、邪魔をするなら容赦はしない…」


「私が天理ちゃんを止めて見せる」


「どう止める気だ…」


「力ずくでもなんで…もっ…ぅっ…ぐぁっ…」


 さくらの言葉が終わる前には天理の一撃がさくらに躊躇なく襲い掛かっていた。決着は一瞬、さくらに勝ち目はなかった。さくらは崩れ落ちて意識を失う。


「気絶したか…大したことないな…やりすぎたか…」


 さくらという障害を破壊し、天理のいじめっ子潰しは幕を開ける。

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