第45話 番外編 現代パロ



 私は愛里衣。都心のとあるお嬢様私立中学の3年生ですわ。兄弟は5つ上の兄と同級生の姉がいます。兄の名前は義留ぎる、姉の名前は朱里亜じゅりあと言いますの。


 我が家は朝からバタバタです。お父様は忙しくてほとんど家に帰ってきませんし、お母様は夜通し部屋に篭って韓流ドラマを見ています。

 お手伝いさんの酢雨斬すうざんがくるのは10時から。つまり登園前のこの時間はとてもバタバタなのです。


 時間通りに炊き上げてくれた炊飯ジャーにホッとしながらも、味噌汁に仕上げのワカメを入れます。目玉焼きはひとつ壊れてしまったけど、これは私が食べるから大丈夫ね‥!


「ふわぁ‥‥愛里衣、おはよう‥」


「おはようございますお姉様!って!!!なんですの!それ!!」


 見慣れたセーラー服に身を包む朱里亜。その両肩は異常なほどに出っ張っております。


「あ、あのね‥テレビで言ってたんだけど、流行って時代を超えてまた回ってくるみたいで、その‥‥どうかな、肩パッド」


 私は発狂しながら朱里亜の肩からパッドを外しました。朱里亜は寝癖をつけたまま、私にされるがままです。本当今日もポンコツなんだからっっ!!昨日突然パラパラを踊り出して満面の笑みを見せつけられた時には心臓が止まるかと思いましたわ!!


「だ、だめだった‥?」


「‥お姉様、まず流行の最先端を狙う前に一般常識と世間の目というものを身につけた方がいいと思いますわ!そのまま登校していたら笑い者にされますしネットにアップされますわよ!本当我が脳乱度のうらんど家のことを少しは考えてくださいませ!!!!」


 はぁはぁと肩で息をする私は、コンロから嫌な音がすることに気が付きました。


 じゅうううっと吹きこぼれた音がして、味噌汁から煙が上がっています。


「ぎゃああ!酵素ぉぉお!!!」





 私は今日も朝から疲れました。極め付けはこれです。

朝ごはんを食べ終えた後に届いたライン‥送信者は列屑れっくす先輩‥


「‥‥なんなのよこのペルシャ猫!!!!!」


 突然のペルシャ猫スタンプです。文章はありません。スタンプのみです。毛を逆立てたブチギレ顔のペルシャ猫。


ーーごめん間違った٩(๑❛ᴗ❛๑)۶


 と直ぐ立て続けにラインが届きましたが、何をどう間違えたらペルシャ猫のスタンプを送ってくるんでしょうか。というかこのスタンプ280円もするじゃないの!購入しているその神経が信じられないわ!!


「愛里衣、学校‥行こう?」


「え、ええ」


 兄はいつの間にか大学に行ったようですね。朝ごはんもいつの間にかぺろっと食べ終えていたようですし。


 鏡を見て最終確認をして玄関へと向かいます。


「っ!!お兄様‥‥今日はペットボトルのゴミの日なのに!!!玄関にゴミをまとめて置いてあるっていうのに何で忘れるわけ?!阿呆なの?!阿呆なんですの?!」


「お、落ち着いて愛里衣‥!私、ゴミ運ぶから‥!」


「あいつっっ、ゴミ捨てくらいしか家のことしてないくせにぃっっっ!!」



 毎朝がドタバタの脳乱度家の一幕なのでした。

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