第5話 筋金入りののんびり



 結局会場へは行けなかったわ。


 待っていてくれたお友達には申し訳ないわね。


「のんびり屋さんってレベルじゃないわよ、貴方っ!」


 怪我をした私は、お医者さんの前に運ばれてしまったの。

 そして、今大事をとってベッドの上で療養中。


 心配をかけてしまったみたい。


 あの場に居合わせたお友達はすっかりお冠。


「ごめんなさいね~。次はちゃんと慌てるようにするわ~」


 今度は転んだ時にちゃんと怪我をしてるかどうか確認してから、急がないといけないわ。

 血が出てた時の為に、応急キットを持参して方がいいかもしれないわね。


 けど、お友達は「怪我をしない方向で努力しなさいっ、こののんびり屋!」と言ってきます。


 そうね、私ったらうっかりだわ。


 数時間後、病院にやってきてくれたおばあちゃんも、おかあさんもさすがに顔を青くしていたわ。


「のんびりも良いけど、少しは焦らなくちゃだめよ~」


「心配したのよ~、命をだいじにしなくちゃいけないわ~」


 そうね。


 二度目の人生をもらった身だもの。


 一度目の人生のようにのんびり歩いていて、横断歩道の途中でうっかり事故にあっちゃった事を考えたら、もう少しくらいしゃっきりした方がいいかもしれないわ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る