第12話 あとがきに代えて(天国への海原)

12.あとがきに代えて(天国への海原)



 天国へ向う海原を一隻の白く美しいガレオン船が航行している。


 天国への扉は、自分では開けられない。


 水先案内人がいないと、通過できない仕組みになっている。

 この仕組みを、“天使が迎えに来る”ともいう。


 しばらくすると、ガレオン船の前に、突如、水先案内人が現れた。


 黒く巨大な海賊船だ。


「お頭、来ましたぜ」

「あぁ、見えている。久しぶりだな」



「貴方、あの方がヴィルヘルミーナさんね」

「そうだ、彼女だ。彼女が誇り高き『海賊』のヴィルヘルミーナだ」

「キレイな金髪ね」

 巨大な黒い海賊船の船長と妻の看護師が、そう話していた。



「お頭、天国へ本当に行けるんですかね」

「さあ、招待状には、そう書いてあったし、案内人も来ているのだ。信用するしかあるまい」

「そうよ、信じる者は救われるわ」


 とは、言うものの、殺人、略奪と海賊行為をしてきて、天国に行けるとは、天国の門もゆる過ぎではないか!

 ガハハ!


 まあ、よか! よか!?


 久しぶりの航海だ。

 楽しもう!

 仲間たちよ!


 天国へ続く大海原、黒い巨大な船と白く美しいガレオン船は、いつまでも、いつまでも、共に天国を目指し、航海を続けるのでした。

 もう、離れることはありません。



『あの時、彼に付いていったのなら、こんな感じだったのだろうか?』


 しかし、付いて行かなかったから、彼にも、私にも子供を授かる事が出来た。

 彼らは、未来へ続く鍵なのだ。


 私達は、この世でやるべき事は、全て行なった。


 そして、最後の冒険、天国への海原を突き進んでいる。


 人は、生きている限り、冒険なのだ。

 冒険とは、己を信じ、自由を愛すること。 

 信念と共に突き進むこと。


 そして、有り難いことに、死んでも、楽しく冒険をさせて頂いている。


 私は、ヴィルヘルミーナ。

 女海賊団のキャプテン、キーナ・コスペル、その人なのだ!



【完結】


 以上を持ちまして、キーナの航海は、終了となります。

 最後まで、読んで頂きまして、誠にありがとうございました。

 感謝申し上げます。

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