お城で愛玩動物を飼う方法
月白ヤトヒコ
第1話
婚約を解消してほしい、ですか?
まあ! まあ! ああ、いえ、驚いただけですわ。申し訳ありません。理由をお伺いしても宜しいでしょうか?
まあ! 愛する方が? いえいえ、とても素晴らしいことだと思いますわ。
それで、わたくしへ婚約解消ですのね。
ええ。宜しいですわ。わたくしは。
いいのか、ですか?
ええ。ですから、わたくしは宜しいのです。愛する方々を引き離すような真似は、わたくしもしたくはありませんもの。
いえいえ、そんな。お礼を言われる程のことではありませんわ。ええ、全く。
それで、どちらのご令嬢なのでしょうか? 侯爵令嬢? 伯爵令嬢? それとも、他国の令嬢や王女様なのでしょうか?
え? 違うのですか?
はあ……貴族ではない?
偶々知り合った平民のお嬢さん、ですか。
あ、いえ。そんな、侮辱など致しませんわ。ええ、はい。とんでもございません。
はい、わたくしは、婚約解消を了承致します。ええ、殿下にここで言われたのですから。
ですが……少しだけ、わたくしの雑談に付き合ってくださると嬉しく思いますわ。
いいえ? 説得など、するつもりはございませんわ。……もう、無駄なことですので。
婚約を解消してしまったら、もう殿下とはこうしてお話できるような機会も無くなってしまうでしょうから。これがきっと、二人だけの最期のお話になるでしょうし。
この立派なお城の庭園も、本日で見納めとなることでしょうね……
まあ、お付き合いくださるのですか? ありがとうございます。お優しいのですね。
では、そうですね。殿下は、『ペット』を飼ったことがお有りでしょうか?
あら、有りませんの。そうですか。道理で……
あ、いえ。犬や猫、うさぎ、小鳥、様々な動物達がおりますでしょう? 珍しいものだと、獅子や虎、猛禽類などの獰猛なペットを飼われている他国の王族の方もいらっしゃるようですから。
ええ、ええ。獰猛な動物は飼育がとても大変なのだそうですわ。けれど、そんな珍しくて、飼育の難しい動物を飼うことを、王候貴族の伯付けだと
中には、王族自ら狩りへ出て見繕って、捕まえた動物をペットにする国もあるそうですわ。
殿下も憧れるのですか? まあ、殿方はやはり、そういうものなんですのね……
……いえ、なんでもありませんわ。
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