祝福するなっ!?!?!?
テオドール神父の向かった方向とは別方向へと歩いていたフィンとヴァン。すると、
「ああっ!? 手前ぇらっ! 手前ぇらのせいで俺は村から追い出されただろうがっ!!!!」
二人を指差し、喚き散らす若い男と出くわした。
「・・・なに? ヴァンの知り合い?」
きょとんと首を傾げるフィン。
「いえ、全く見ず知らずの無礼な赤の他人です。きっと、この辺りに生息する野生のゴロツキ未満Aなのでしょう」
「誰が野生のゴロツキ未満Aかっ!? 俺には」
「では、行きましょうか。マスター」
名乗ろうとしたゴロツキ未満Aを遮るヴァン。
「そうだねー」
「って、待ていっ!? 流すなこの野郎共っ!? 手前ぇのせいでっ・・・次期村長の筈の俺は村から追い出されてっ、ネロリはラルフの奴と婚約しちまったんだぞっ!? どうしてくれるんだっ!!!!」
全力で叫ぶ男。
「はあ、それはそれは、おめでとうございます」
「祝福するなっ!?!?!?」
血を吐くような絶叫。
「・・・あなたは余程、物知らずなのですね。仕方ないので、少し教えて差し上げますよ。この地方は、数代前の領主家から王家に嫁いだ方がいるのです」
「へ?」
「なので、ここの領主様の家は、王家の遠い外戚となっているのです。領主家と王家との交流は少なくはなっていますが、途絶えてはいないのですよ。現に、あの城の侍従の方達は王都から来ている方ばかりですし。それを、こともあろうに、吸血鬼呼ばわりとは・・・領主様が温厚な方でなければ、とっくに首が飛んでいるでしょうね」
「っ!?!?!?」
男は、真っ青になって震え出した。
「それを、村を追放になるだけで済まされるとは、とても運が宜しいことですね。では、失礼」
「バイバーイ」
と、フィンとヴァンは歩いて行った。
その後、実は村でもクズだと有名だった村長の馬鹿息子こと、ゴロツキ未満Aの行方を知る村人はいない。
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