リヒャルトとおててを繋いでデートをする予定でしたのに・・・
視点変更。
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「ね、ネイトが行っちゃった……」
わたし同様、伸ばした片手もそのままに寂しそうな顔で固まるセディック様。
「っ……なんて、ことでしょう……」
おそらくはネイサン様も、無邪気にあちこちに行きたいと言ったリヒャルトの可愛らしさに、思わずその希望を叶えてあげたいと気が
昨日から楽しみにしていた、リヒャルトと初めて行く植物園、おてて繋いで仲良くデートの予定がっ・・・
ネイサン様がリヒャルトを連れ去るだなんて、全くの想定外!
思わぬ伏兵でしたっ!!
「ど、どうしようっ? 子供と女の子だけで見て回るなんて危ないよっ!?」
青ざめた顔で言うセディック様。
「っ!? そ、そうですね! あんなに可愛いリヒャルトと、お綺麗なネイサン様と可愛らしいレイラ様の三人だけでいたら、危険ですよね!」
いけません。わたしとしたことが……ネイサン様に嫉妬して、安全面が抜けるとは!
「そうですよ・・・ああ、植物園の警備へ連絡を取って、今すぐネイトとリヒャルト君の身柄を確保しなきゃ!」
「ええ、警備員を探さなくては!」
「ええっ!? ちょっ、落ち着きましょうよセディック様、ケイト様!」
「そうですよ、セディックお兄様、ケイトお姉様」
「ハウウェル先輩もレイラちゃんも小さい子供じゃないですし、そうそう危険なことはない筈ですよ」
「リヒャルト君はまだ小さいですけど、賢い子ですから、自分から危ない真似をすることはないと思いますよ。だから、落ち着いてください」
「ゆっくり深呼吸しましょう、ね? セディック様、ケイト様」
と、慌てるわたし達を一生懸命宥めるフィールズ様とルリアさん。
言う通りに、一旦深呼吸。
「ふぅ……失礼、少し取り乱しました。セディック様、ここは一先ず落ち着きましょう。焦ると、よくないですからね」
「っ、・・・ええ、そうですね。すみません、エリオット君。ルリアさん」
「多分ですけど、ハウウェル先輩はケイト様に気を遣ったんだと思いますよ」
「? ネイサン様が、わたしに?」
よくわからなくて首を傾げると、
「はい。リヒャルト君が指していたところに、虫の観察ができるエリアがありましたから。女の人は、あまり虫を好んで見たいという人はいませんからね」
思わぬ言葉が返りました。
「む、虫ですか・・・」
確かに、わたしも虫は苦手というか嫌いです。リヒャルトが外で虫を見たという話を、少し微妙な気持ちで聞くこともあります。
幸い、と言ってはなんですが、まだリヒャルトが虫を捕まえては来ないことでしょうか?
・・・どうしましょうっ!? リヒャルトが虫を捕まえて来たら、わたしは笑顔で可愛いリヒャルトの話を聞けるでしょうかっ!?
「虫・・・」
と、セディック様も微妙な顔。
「ふふっ、その様子だと、セディック様も虫は得意ではないみたいですね。リヒャルト君も男の子ですからね~。それで、ハウウェル先輩はリヒャルト君を連れて行ったんだと思いますよ」
にこにこと言い募るフィールズ様。
「・・・その、レイラ様は?」
「ああ、レイラ姉様は虫を触るのは嫌みたいですけど、図鑑なんかで見る分には平気なようなので、興味があるのは本当なのかもしれませんね」
「そう、ですか・・・」
「ふふっ、リヒャルト君達が虫の観察を終えるまでは、お二人でのんびり過ごしてみては如何ですか?」
クスクスと笑うルリアさん。
「待ち合わせ場所も集合時間も決まっていますからね。きっと大丈夫ですよ。ね、ルリアちゃん」
「はい。レイラ姉様はうっかりさんですけど、ネイサンお兄様が付いているから安心なのです。では、午後一時にレストランでお会いしましょう」
と、ルリアさんとフィールズ様は二人で楽しげに歩いて行きました。
「・・・えっと、どうしますか? ケイトさん」
少しぼんやりしていると、困ったような顔のセディック様が言いました。
「そう、ですね・・・では、折角なのでわたし達も気になるところを回ってみますか?」
「はい。行きましょうか」
と、自然に差し出された手を握って歩き出しました。
今日は、リヒャルトとおててを繋いでデートをする予定でしたのに・・・
まあ、こういうのも悪くないのかもしれませんね。
。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・✽
おまけ。
ルリア「エル兄様、ありがとうございます」(^∇^)
エリオット「? なにがありがとうなの? ルリアちゃん」(´・ω・`)?
ルリア「ふふっ、なんでもありません」( *´艸`)
(エル兄様のお陰で、レイラ姉様がセディック兄様とケイト姉様に恨まれなくて済みました……なんて、言えないですよね)(*・∀・)=3
ケイトさん的には、リヒャルト君とデートする気満々でした。セディーとお出掛けというよりは、保護者とか引率な気分。(笑)
レイラちゃんの目論見はちょっぴり成功。
次回、ネイサン視点に戻ります。
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