まぁ、わたし一応次男だからなぁ。
祖父母の家に着くと、約束はしていなかったけどやっぱり歓迎してくれた。
お茶の用意がされたので、祖父へ切り出した。
「わたしの、学校の件はどうなっていますか?」
「昨日、エドガーの奴から聞かなかったのか?」
「昨日も今朝も、会っていません」
「全く、アイツは……」
祖父の苦い顔。
「本当なら、ネイト。お前にどうしたいのかを聞いてから決める予定だった。しかし、クロシェン家から打診が来ているが、ネイトのことはどうするのかとエドガーに聞いたところ、その日はなにも言わなかった。しかし、その数日後に、お前をこちらへ戻すと手紙を送ったと伝えて来た」
「つまり、父の独断ということですか」
まぁ、父とはあんまり話したことないけど、
子供だったからわたしの話を聞いてくれなかったのかな? とも思ったけど、お祖父様の話も聞かないとなると……
なんというか、夫婦揃って人の話を聞かない人達なんですね。あの人達は……
「好きなようにさせてやれなくてすまなかった」
「いえ……」
「どうかしたか、ネイト? 言いたいことがあるのなら、言いなさい」
少し考えて、口を開く。
「・・・お祖父様。もしかしたら、わたしよりもセディー兄上の方が大変だったりしません?」
「まぁ、そうだな。セディーも苦労している」
お祖父様の深い溜め息。
これは、アレだ。
お祖父様も、
もしかして、実は父じゃなくて他領へ嫁いだ伯母様を跡取りにした方がよかったんじゃないかな?
ハウウェル家って、お祖父様は侯爵なのに、父は未だに子爵位のままだし。
父はハウウェル侯爵であるお祖父様の持つ子爵位を継いで、その領地の一角を治めている。けれど、侯爵を継ぐという話は出ていない。
数回しか会ったことのない伯母様は、
ものすっご~く生意気かもしれないけど、父って侯爵の器じゃなくない?
まぁ、一応口には出さないけど……
「セディーにもネイトにも、これから苦労を掛ける」
なにかを決意したようなお祖父様の言葉。
「……お祖父様、今なにかす~ごく重大なことを決めちゃいました?」
「ああ。そうだ。以前から考えてはいたのだが……やはり、侯爵位はセディーに継がせることにする。エドガーは、その器にない」
ぁ~ぁ、言い切っちゃったよ。
「やっぱり、そうなりますか……」
お祖父様による、セディーの後継教育が決まった。きっと、
「無論。ネイトにも、これから領地経営を学んでもらうことになる」
「わかりました」
ついでに、わたしの教育も決定した。まぁ、わたし一応次男だからなぁ。
ちなみに、父は一応領地経営はできているそうだ。お祖父様目線では、その辺りは及第。
けれど、その他が駄目駄目だとのこと。
中でも、社交と家庭が最悪だとか。
うちは母が社交してないからなぁ。
母を御せない、というか好き勝手にさせていることと、跡取りとなる子供…セディーとわたし(次男なので予備)に関心が無いのが一番の問題だそうです。わたしを置き去りにして、その後の対応とか……
実はわたしも薄々思っていたけど……父は、祖父から見ても
なんかもう、溜め息しか出ないよねぇ。
父は、母には優しい。だから、きっと……母以外には、あまり関心が無いのかもしれない。
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