心の準備が出来た時に......

ゆりえる

第1話 神頼み

介護疲れによる殺人のニュースを見る度、胸が痛む。


 出生率は過去最少を更新し続け、高齢化社会が進み、認知症患者は激増している現代では、明日は我が身かも知れない。


 彼らは決して根っからの極悪人ではない。

 遡ると、故人との楽しい時間を共有し、介護が始まる前までは、お世話になった分、これから、少しずつ恩返しのつもりでと意気込んでいただろう。

 それが、自身の生活と介護との狭間で、いつしか、殺意を抱くという限界まで追い込まれてしまう。

 そんな切ない締め括りなど誰もが想定してなかっただろう。


 そもそも、この介護という制度自体に問題がある。

 ヤングケアラーなどという哀しい響きの言葉まで生まれた。


 介護される側の気持ちというのは、無視されていないだろうか?

 自分ならば、親族に迷惑をかけてまで生き長らえるほどの、この世に未練は無く、即、尊厳死を選択したい。残された家族には、自分の人生を謳歌してもらいたいからだ。


もしも、この世に、神様という存在がいて、熱心に願うと叶えてもらえるというのなら......


 切にお願いしたいのは......

 

『介護疲れによる殺人』

......などという言葉が死語になるほど

介護の負担が無くなる世界


 もちろん、それだけの体力と時間的、金銭的な余裕が有り、どうしてもお世話したい、それが生き甲斐という尊い志を持つのなら、そのまま介護を続けても良いだろう。

 また、どうしても生き延びたいという資産家の年配者さん達は、お金を世の中に流通させる為にも、私財をなげうって介護してもらうとよいだろう。


 が、そうでない、肉体的にも精神的にも追い詰められてしまうような状況で介護を続けている人々に関して、特に相手に認知症が入っている場合は、容易に安楽死が認められ、介護していた人々が、各々の人生を歩める社会となる事を是非とも神様にお願いしたい!

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