私の彼は155cm

御等野亜紀

第1話 告白

私は花餅きなこ。そこ名前聞いて笑うなよ。どうでもいいが身長160cm、体重40キロ小さくも無くでかくも無く普通の女の子のつもりである。流行の茶髪を校則にひっかからないていどにうすく染め腰までの髪は後ろで編みこみしながら一つに結んでいる。肌は少し日に焼け、勉強は中の中の下というところだろうか。体育は比較的得意で美術は工芸系が好き。音楽のことは聞いてくれるな。家庭科のことも…


私には一つ特殊な能力を持ち高校生に入ったばかりでありながら実は職につき稼いでいるが、それは学校には内緒である。友達は少ない。学校を終わると即効である場所に赴き居座っているので特殊な友達しか出来ない。まぁ私がそれでいいと思うのだから気にしないでいいと思う。


高校生活を始めて1週間。今、私は1人の男性に呼び出されている。顔は知っている。入学式で代表挨拶をしていたから頭はいいのだろう。が、いかせん視線が…私より5cmほど低いのだ。口は結構悪そうだ。呼び出しなんか

「ここにきなこいない?花餅きなこ呼び出して欲しいんだけどさー」

である。そして来たとこは人の少ない中庭。よーく見るとカップルがいちゃいちゃしている庭でもある。そしてこのパターンは大抵決まってる。私にも王子様像がある。頭は良くてもこの背の低い君と付き合う気は毛頭ないのだが身体的理由で拒否るのは昨今いじめとも受け止められる。どうしようか…


それにしてもこいつ沈黙長い。

「あのさー」

「何?」

「以外とそっけないのな」

「悪い?」

「いや、俺だけに愛想よければ充分」

「無理よ」

「俺、みたんだ」

「何を」

「ぐったりした子猫、病院に連れて行くとこ。出てきたときはぽろぽろ泣いてた」

「くっ、そんなの後追いかけないでよ」

やだ、顔が真っ赤になるのがわかる。思い出して涙まででそうだ。学校じゃ見せたくない顔。見られてた。

「かわいいと思った。俺と付き合って」


「弱み握ったからって付き合ってあげない。大体君身長何センチ?」

「そー来たか。慣れっこだけどね155cmだよ。身長でふられるのはめずらしくないけど。俺諦めないよ。結構粘着質なタイプなんだ。身長の5cm、10cmなんてすぐ気になくなるさ。それより弱みなんて思ってないよ。素直な感想さ。お前無愛想で勉強しなくって変な喫茶に出入りしてるっていうじゃん。不良の仲間入りでもしたいわけ?そう思ったら子猫死んで泣いてるんだもんな。かわいいよ」

「つきあう気ないから、ほっといてよ。私が誰と交流して様とあんたには関係ないじゃん」


「だいたいあんたとか、君とか…あー俺、名前も言ってねえ。ごめん主席で通ってるから知ってるかもだけど茲一須波(ここいちすなみ)つていう。すなって言ってくれればいい」

「呼ぶ必要ないし、もう離れていい?」

「俺、お前のこと好きになれそうな気がする。放課後待ってるからな。付き合えよ」

「人の自由奪わないで!!私が何しようが勝ってでしょう」

「なら、お前に俺が付き合う。それも駄目とは言わせないぜ。勝手についてくから」

そう言って彼は去っていった。


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