DEUS VULT TEMPLATE ✖️ ~ 神様がテンプレを望んでいるようです。ですが神様、このテンプレは色々と間違っています ~

咆哮音痴

テンプレート 1

神様、あなたはTS転生モノというものを勘違いしている(1)

最初に、ドンっ‼︎という衝撃がカラダを貫いた。


次いで、がっぷり四つに組みつかれ。抵抗する間もなく寄り切られた。


最後に、追い討ちでベシャリっと、強かにアスファルトの地面に叩きつけられてボクはー…




地球は日本国の片田舎の片隅で、モブモブと平々凡々に生きていたボクはある日、酔っ払って暴れまわっていた〝相撲レスラー〟にぶん投げられ。頭を強く打って死んだ——て、なんでやねんっ‼︎


普通、こういうのって相手は〝トラック〟とかでしょっ⁉︎


何で相撲レスラー?


なにひとつ、カスリもしてないよっ‼︎


はぁはぁ…。


でも、そう…ボクは死んだのだ。



『はいはい、死にましたよ、死んだ死んだ。うぇ…し、死んじゃったよぉぉ…』



暗闇の中、ガチガチと歯を鳴らし。ガクガク、ブルブルと産まれたての子鹿のように震えるボク。


〝死んでる〟のに〝産まれたて〟とは如何なものかっ⁉︎(プチパニック)


ゴホン、失礼。取り乱しました。


それにしてもこの状況。ハッキリ言って、やばぁい…。


何がって、パソコンの隠しフォルダー、ハードディスクの中身、ベッドの下、机の3段目の引き出しの上底、クローゼットの中っ‼︎


ボク、やばぁいブツ、全部ぜんぶのこしたまま逝っちゃったきちゃったよおおおおっ‼︎


描きかけの百合モノ同人誌、チーム『両刀腐敗』さんの激レアBL本っ——う、うわああああんっ‼︎


いっそ殺してええええっっ‼︎(大パニック)



『クソがああああああっ——て、あれ?』



W○EEEEッ‼︎ウ○ィイイイッ‼︎からの、エク○シスト・ブリッジで暗闇の中をシャカシャカ歩き回っていたら。ボクの胸に段々と、なんとも言えない違和感がわきあがってきた。



『おかしい…。ボク、死んだはずだよね?だって、めちゃくちゃ痛かったもん。でも、それにしては…』



意識、ハッキリしすぎじゃない?



『んー…ん?』



不思議に思って首を傾げていると、暗闇の向こうからボクを呼ぶ声が聞こえてきた。



〝人の子よ…〟


『だ、誰っ⁉︎』


〝 ……… 〟(じぃ…)


『えっと…』(たじ…)


〝 ……… 〟(じぃぃ…)


『ううっ…』(後ずさりぃ…)



問いかけるも、答えはなく。


しばらく沈黙がつづー…



〝ふむ、此度の主役は其方で良しとしよう〟


『ふへぇ?』


〝人の子よ、DEUS VULT TEMPLATE…我はテンプレを望んでいるのだ〟



え?なに言って——て、んんっ⁉︎


な、なんか、カラダが光っ@#€〆%〜ー……



一つの魂が今、異世界へと旅立った…。



〝うむ〟



そして、神は己が異世界へ送った魂が無事転生するのを確かめ。〝良し〟とされてその場を去った。




~ 転生先の異世界 テンプレータ ~



ボクの名前は、田中野たなかの 奏多かなた、16歳。


花も恥じらう〝女子高生JK〟。


背が低くてショートヘアで、胸もぺったんこで〝ボク〟なんて一人称を使っているけど女子高生JKだ。


よく間違えられるけど、男子じゃな——て、誰がショタだっ‼︎


ふぅ、やれやれ…。


それで、えっと…。


たしか、酔っ払って暴れまわっていた相撲レスラーに、ぶん投げられて頭を打って死んで、それから…あれ、何だったけ?



「——ちゃま」


「んん…」


「トーラス坊ちゃま」


「んむ、んぬぅ…」


「起床のお時間ですよ、坊ちゃま」


「んん…?」



誰かがボクを呼ぶ声がする。


ああ、そうだ。


目覚めなきゃ起きなきゃいけないんだった…。



「おはようございます坊ちゃー…」


「あぇ…おかしいな、何で生きてるの?」


「はふうっ…‼︎」


「んん?」


「はぁはぁ…ぐふぅっ」


「クへテ…」


「んんっ‼︎」



のそりと起き上がると、ボクが呟いた一言が被弾ヒットしたのか。


ベッドの脇に、気持ち良くな腰砕けっちゃってるになった駄メイドのクヘテが転がっていた。まぁ、いつもの事だ。放置しておこう。


それにしても、はて、何やらおかしな夢を見ていたような…う〜ん?



「あぁ…トーラス坊ちゃま。朝からなんてお盛んな…んんっ」


「誰がお盛んか」


「はふぅっ…‼︎」



じとりと、絶対零度の非難の目をクヘテに向ける。


だがしかし、クヘテにこたえた様子はない。クネクネとカラダをくねらせ、頬を上気させて喜んでいる。


はぁ、やれやれ…。


ボクの名前は、トーラス・セクシュアル、12歳。


セクシュアル男爵家の〝三男坊〟でー…



「て、んん?んんんん???」


「どうかされましたか、坊ちゃま?」



なんだろう、すごく違和感が…。


あれ、ボク、男…女?


え?え?あれ——うそっ⁉︎



「——っ‼︎」


「坊ちゃま?どうしたんで——坊ちゃまっっ⁉︎」


「な、ななななっ…⁉︎」



ガバッと跳ね起き。ボクは着ていたパジャマのズボンをすぐさまズリ下ろした。


そして、奏多ボクに付いて無いはずの〝モノ〟を見つけー…



「何じゃこりゃああああっ⁉︎」


「ト、ト、トランス坊ちゃまのトランス坊ちゃまがっ、私の目の前にあらあらあら露わにににぃぃ——うへへ、おふぅー…」(バタっ‼︎)



天に向かってW○EEEEッ‼︎ウ○ィイイイッ‼︎した。


駄メイドは『我が人生にひとかけらの悔いなし』と言って昇天した。


いや、ちょっと待ってっ‼︎


何でボク——〝男の子ショタ〟になってんノオオオオっ⁉︎

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