【過去編】永遠の夏⑦

Side 空



放課後の掃除当番を僕は買って出た。


僕が休んでいる間、クラスメイトが代わりにやっていてくれたみたい。


学校を休んだ事で、色んな人に迷惑をかけてしまい、僕は反省した。


ちゃんと来なきゃダメだ。


みんなに迷惑かけないためにも。


自分の為にも。


教室の掃除をし、ゴミをまとめてゴミ捨て場へ向かった。


道すがら、さっきの体育教師の事を思い出す。


あの体育の先生、いい人だったなぁ。


見た目はワイルドでちょっと怖そうに見えるけど、喋ってみると気さくで、多分優しい人なんだろうと思った。


それに、ちょっとカッコよかった。


僕は背も小さいし、筋肉もないから、憧れてしまう。


一人で笑みを浮かべてしまっていたことにハッとし、周りを見渡して咳払いをした。


ゴミ捨て場でゴミを捨て、教室に戻ろうとした。


すると、数名の男子生徒に前を遮られた。


誰だろう?


僕に用?


「あの、何か用ですか?」


「うお、可愛い声!」


一人が大きい声で言ったのでビクッとした。


「やべー、近くで見るとめっちゃ顔ちっちゃくね?」


「色白いなー!これで男かよ」


僕の事をジロジロ見ながら彼等が口々に言った。


僕は、彼等が今朝の体育の時間の前に教室に来ていた3年生達だと気付いた。


「ずっと、学校に来なかったから会いたかったぜ、結城空くん」


「な、なんで、僕の名前…」


なんで知ってるの?


友人の「あいつら、結城の着替えを見に来てるんだよ」という言葉が脳裏をよぎる。



「ちょっと俺らと来てくんねーかな?」


手を掴まれた。


僕は身の危険を感じ始めた。


「は、はなしてください」


「おい、暴れんなよ。」


「そうそう、そんな細い腕で抵抗したって無駄だぜ」


4人で羽交い締めにされる。


「やだっ、離して…ッ」


それでも僕は懸命に抵抗した。


「ったく、仕方ねーな」


突然、鳩尾に重い衝撃が走った。


彼らの一人の拳が僕のお腹にめり込んでいた。


「―ッあ」


痛みで僕は倒れ込む。


ぐったりとした僕は、彼らにもたれ掛かるような形で運ばれた。


連れて来られたのは、体育倉庫だった。


体を突き飛ばされ、僕はマットの上に倒れ込んだ。


体育倉庫のドアが閉められ、4人の男たちがニヤニヤしながら僕を見下ろす。


「な、なにするの…?」


声が震えてしまう。


「何するの?だって、マジで可愛いよなぁ。安心しろよ、気持ちいいことだから」


4人のうちの3人が近寄ってきて、僕のシャツに手を掛けようとした。


「ちょっと待て」


残りの1人が言った。


「なんだよ、早く脱がそうぜ」


「慌てんなよ、ただ脱がしたって面白くねーだろ」


そいつは僕に近付いてきた。


「自分で脱げ。」


「おー、そいつはいいな!ストリップだ!」


「ほら、早く脱げよ」


両脇から立たされ、脱ぐ事を促された。


どうやったって勝てない。


1対1でも勝てないのに、4人が相手なんて。


僕は、抵抗する事を早々に諦め、シャツのボタンに手をかけた。


何で僕ばっかりこんな目に…。


手が震えてボタンがなかなか外せない。


僕が抵抗する事を諦めたのは、この状況にじゃない。


この運命に…だ。


ハラリとシャツが足元に落ち、僕の頼りない上半身が露わになった。


促される前にズボンも脱いだ。


躊躇っていてもどうせ殴られることはわかっている。


でもさすがにパンツを脱ぐのは抵抗があって、暫く動けずにいた。


そんな僕を彼らが凝視している事に気付いた。



ゴクリ…


誰かが生唾を飲む音がした。


「やば…」


「色白すぎだろ。肌なんてそこらの女より全然綺麗だ」


「乳首、なんであんなにピンクなんだ?エロすぎんぞ」


「なんて可愛い身体してんだ」


彼らは、僕の上半身裸の身体をマジマジと見ながら口々に感想を言った。


「触らせろ!!」


1人が我慢できないとばかりに僕の方に駆け寄った。


残りの3人も慌てたようにあとに続いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る