この作品の評価は、難しい。これに尽きる。
「全てのラブコメに捧げるアンチラブコメ」を謳い、開幕した今作。展開としてはいわゆる"ラブコメの世界観"を踏襲しつつ、そのうえでその世界の”常識”や"お約束”に疑問符を投げかけるという形で進む。これが非常に厄介なのである。というのも、先が読めないのだ。
筆者は、(この作品の良さでもあり訳の分からない点でもあるのだが、)この二者の境界線をあえて曖昧にしている。そのため、著者は展開としてどちら側の選択も採ることができるし、どちらをとっても読者は(、少なくとも私は、)納得してしまう。これに加えて、程よく登場人物の過去や経験をぼかしているため、本当に、(いくつかの可能性は考えられるが、)先の展開が読めないのである。
「展開が読めないというのは魅力ではないか」とおっしゃる方もいるだろう。確かにそうだ。先が見えないというのは読者にとってわくわくそのものだから。が、こうしてレビューを書く立場としては、連載中で着地点が見えないということも相まって、どう紹介すればいいのか分からないのである。
長々と書いてきたが、結局いえることは、「この作品の評価は、難しい」というこ一言に尽きる。単純に登場人物の日常コメディーは面白く、伏線らしきものにも惹きつけられながら楽しく拝読しているが、私自身本当は何もわかっていないのかもしれない。このレビューを読まれている皆様にも、ぜひこの独特な世界観を体験し、感想を共有していただきたいと思う。
(日常コメディーの面白さと今後の展開に期待を込めて☆3としました)