一方そのころ、商人の男は……




 タクシーの後部座席に座り、我輩はスマホをつついていた。


 手にあるのは変異体用スマートフォン。ここで書かれているSNSはこの機種にしか見られないものだ。


 そのSNSを見ていると、見覚えのあるアカウントが目に入った。


 海岸で出会った、あの変異体の少女である。確か、名前はタビアゲハと言っていた。

 最近投稿したのは、公園のハトの写真。どうしてこの写真を投稿したのかはわからなかったが、文章を見るにとても充実してそうだった。





 我輩が笑みを浮かべていると、気になる書き込みが目に入った。




 とある研究所に、変異体から人間に戻った研究者がいるらしい。




 それも、人間の皮をかぶらずに、本当に変異体から人間に戻ったのだという。




 ……変異体が人間に戻れるはずがない。


 先ほどまでの良い気分を台無しになった。

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