第6話 地獄では仲良く
やがて、一日中私の亡霊が見えるようになった妹は、どこかの建物の屋上から身をなげた。
何も知らない両親は必死で妹の行動を止めようとしていたのが、少しだけ胸が痛かったが。
彼等には本当につらい思いをさせている。
長女である私は、おそらく行方不明扱いだろうし。
次女であろうユフィ―は自殺だ。
だけど、私はもう止まれないのだ。
ここまで色々な事を、やってきてしまったのだから。
屋敷の地面に真っ赤な血の花をさかせて、地面に横たわる妹を見つめる。
落ちた直後はまだ意識があったのだろう。
わずかに動かした右手が、自分をかばうよにかかげられた。
「こないで、お姉様」と唇が動いていたから、私の幻でも見ていたのかもしれない。
けれど、それはすぐに力をなくしてぱたりと落ちてしまう。
ユフィーは、最後まで苦しみながら死んでいったのだった。
次は私の番だが、妹が地獄に落ちたのか確認したかったので、死神にダメ元でお願いをした。
そしたら、ぽいっと水晶を渡された。
それで、自分の目で確かめろという事なのだろう。
水晶には死後の妹の姿が映っていた。
地獄の業火で焼かれては再生、焼かれては再生する妹の姿。
その姿をみて、私は胸をなでおろした。
哀れだなどとは思わない。
そんな心はとっくの昔に失くしてしまったから。
「待っていて、私もすぐにそっちにいくから」
生きている頃は仲良くできなかったけれど、同じ地獄を味わう仲だ。
「姉としてたっぷり可愛がってあげるわね」
それは私なりの可愛がり方で、だけども。
今の私の気分はとても良いから、きっと大丈夫だ。
きっと死後の私達は、以前よりそれなりに仲良くなれるだろう。
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