第5話 復讐劇



 死神の手によって牢獄から解放された私は、さっそく妹に仕返しする事にした。


 とりあえずは簡単な事から始める。上から物を落として脅かしたり、物を無くしたりという所から。


 その次は、大きな建物のベランダから花壇を落としたりなんかして、妹を脅かしてやった。


 後は、妹が橋を渡っている時に、それを支えているロープを切ったり。

 高いところにいる時は、強風で吹き飛ばそうともした。


 もっと刺激に満ち溢れた事だと、血に飢えた狼においかけさせたり、凶悪な殺人鬼に狙わせたりもした。


 一応他の人には被害がいかないように配慮したので、余計な被害は出ていないと思うが、地元の人はそれで数日間は震え上がったとか。


 でも、私の復讐の為だ、少しくらいは仕方がない。


 時々は、絡め手も使って、妹を追い詰めた。


 妹の友達に一人ずつ悪口を吹き込んで、妹から離れさせたり。

 知らない間に妹と仲良くなっていた、私の元婚約者シンフォには、妹より圧倒的に良い女性を近づけさせたり。


 最後だけ、少し容赦してしまったが。

 男ってちょっと、どうしようもない。


 私、ユフィ―と次々に心うつりしていったシンフォ様には別口で、新しい恋人の前で落とし穴にかかる罠でも後でかけておくことにする。







 嫌がらせを繰り返すと、妹はだんだんと追い詰められていった。


 部屋の中に引きこもる日が多くなっていく。


 その様は、まるで幼いころの私のようだ。


 人と関わる事に恐怖感を抱くようになったユフィ―は、屋敷の中ですら出歩けない始末で、あることない事を一日中言い続けるような有様。


 しまいには私の幻が見えるようになったらしい。


「ああっ、ごめんなさいお姉様! ごめんなさい。もうしません。そんな恐ろしい顔をしないで! もう許して!」


 ベッドの中にもぐりこんで、一日中震えている妹。


 可哀そうな妹。


 でも自業自得だ。


 限界が来るのは遠くはなさそうだった。


 けれど容赦はしない。いくら謝ったって取り返しがつかない。


 失ったものは、もう戻らないのだから。


 私の彼女に対する評価は決して覆らない。


 だから、私は復讐をやめる事はなかった。


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