人間社会に紛れて暗躍する吸血鬼の男性が、竜人の子供を保護することになるお話。
ド派手な異能がバンバン飛び交う、王道的なエンタメ現代ファンタジーです。
これでもかとばかりに盛られた各種設定のケレン味と、その人外ぶりがあればこそのド派手な戦闘シーンが魅力。きっちりエンタメしてくれるお話です。
最大の魅力はやはり登場人物、特に個人的には主人公のリコさんが好きです。
女たらしの美形吸血鬼男性。面白いのはタイトルにかかる部分というか、彼の言う「不便な能力」の意味。
確かにその不便さのためにうんざりするような目には遭うものの、それでもただの人間からしてみれば「いやそんなになんでも持ってて何言ってんのお前」と突っ込みたくなる、その認識のギャップが好きです。
いや、本当にそれだけだとただの無自覚な人なんですけど、でも不便だなんだと悪態をつきながら、結局なんだかんだで「やる」男はやっぱり格好いいんですよ……すき……。
なんやかや断れないたちというか、人のために手を焼く側に回るところが、彼自身のキャラクターとして伝わってくるところが素敵なお話でした。