第567話 神力

 葵さんがバスの扉を開けると、鍛治神様が飛び込んでくる。


「眩しい!」


 思わず叫ぶ葵さん。

 後で葵さんが反省する事になったがその時は咄嗟で仕方がなかった。


「ん?

 どうした?」


 鍛治神様が葵さんを心配してさらに近づいてくる。


「ま、眩しいです!

 もう少し神力を抑えて下さい。」


 葵さんは目を閉じているが、それでも鍛治神様から漏れだす神力には耐えられそうになかったのだ。


「眩しい??

 あ〜神力かぁ‥

 面倒だなぁ。

 俺、こういうの苦手なんだ。

 ほら、どうだ?」


 眩しくて悶え苦しむ葵さんに鍛治神様が神力を調整してくれる。


「あっ、少しましになりました。

 でも、まだ目が開けられません。」


 葵さんの言葉を聞いて鍛治神様がさらに神力を調整させる。


「これ以上は無理だぞ。

 そろそろ大丈夫だろ?」


 鍛治神様の言葉を聞いて、葵さんがゆっくりと目を開ける。


「う〜ん、とりあえず大丈夫ですがそれでもまだ眩しいです。」


 葵さんが正直に感想を伝える。


「これ以上は無理だから、慣れてくれ。

 それより、聞きたい事がある。」


 鍛治神様が葵さんの目と鼻の先に近づいてくる。


 同性とはいえ、目を血ばらして興奮する鍛治神様に葵さんは引いていた。


「これを改造したのは誰だ?

 職人神程度が作った乗り物が俺の剣を折れるはずがない!

 誰かがこの乗り物を改造したのだ!

 さぁ、早くソイツを俺の前に連れてこい!!」


 唾を飛ばしながら力説する鍛治神様が少し怖かった。

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