第563話 黒幕

<女神side>


『もう、わかった!

 本当の事を話すから‥』


 女神の粘りに上位神の心が折れてしまう。


『お主を今下界に降ろせないのは、今回の黒幕をあぶり出す必要があるからだ。』


「黒幕?」


 上位神の話に女神が首を傾げる。


『今回の事件は帝国王子の暴走だけが原因ではない。

 裏で王子を操った者が存在する。』


「そんな奴がいるなら、天界から罰を与えてください!」


 女神の言葉に上位神が黙ってしまう。


「何か不都合でも?」


 上位神の反応に女神が不審に思う。


『これは最重要機密なのだが‥』


 上位神の緊張した声色に場の空気がピリピリする。


『天界から無断で下界に降りた神の可能性があるのだ‥』


「‥‥‥はぁ?」


 上位神の説明に女神がキレる。


「神に原因があるのなら、それは天界の問題では?

 はぁ?

 あり得ない!!

 何故、そんな事になったのですか?

 はぁ?

 どんなセキュリティですか?

 SECO◯入ってます?

 誰の責任ですか?

 責任者出てこいや!」


 女神の怒りは止まらない。


「斗馬を危険に晒しましたね?

 いくら上位神でも許さない!」


 女神が本気で怒る。


 女神の身体から神気が漏れだす。

 その量は上位神に匹敵するほどである。


『すまない。』


 上位神が素直に謝罪する。


「絶対に許さない!

 今すぐ斗馬の元に向かいます!

 止めないで‥

 ‥‥先程、黒幕をあぶり出すと言いましたね?

 まさか、斗馬を囮にする気ではないですよね?」


 女神の神気が上位神を上回るのであった。

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