第555話 暴走

<女神side>


「一時はどうなるかと思いましたが、肉塊のおかげで助かりましたね。」


 斗馬達のことを観察していた天使がゴーグルをつける女神に話しかける。


「ほんと、助かったわ。

 肉塊様様だわ。」


 女神も斗馬が無事でホッと一息ついていたが、肉塊の処分について何も考えていなかったのだ。


 天界に安堵の空気が流れる中、それは起きた。


「ビーーーーー」


 女神のつけるゴーグルからアラーム音が鳴り響く。


「ちょっと、どういうこと?」


 事情の分からない女神が焦りだす。


 必死にアラームの止め方を探るが見つからなかった。


 するとゴーグルから音声が流れだす。


『警告!警告!警告!

 一定時間ネットワークに接続出来なかった場合、オフラインモードに移行します。』




「「はい?」」



 女神と天使のセリフが重なる。



「オフラインモードって何よ!?」



 聞き慣れない言葉に女神は混乱する。



『オフラインモードとはネットワーク接続が切れた状態のまま使い続けると作動するモードです。』



「答えるんかよ!」



 まさかゴーグル自体が回答してくるとは思っていなかったので、思わず突っ込む女神。



「具体的に何が起こるの?」



 女神がゴーグルに質問する。



『オフラインモードになると‥

 暴走します。』



「「はぁ?」」



 またシンクロする?



「暴走って、装備が壊れるとか?」



 斗馬が危険な目に遭わなければ、装備が壊れてもいいと思っていた。



『装備は壊れません。

 女神装備が簡単に壊れるわけないでしょ!』



 何故かゴーグルにキレられてしまう。



『暴走するとバーサーク状態になります。』



「バーサーク状態って何よ!」



 知らない言葉に女神に緊張がはしる。



『バーサーク状態とは、身体能力が限界突破します。脳が無意識に加減しているのを無効にし、例え腕が折れようとも相手を殴り続けたり‥。』



 ゴーグルの説明に女神の血の気が引く。



「ヤバいじゃない‥」



『一つ問題があります。』



「まだあるの?

 で、何よ?」



 女神は苛立ちだして言葉が荒くなっている。



『暴走なので、敵味方の判別がつきません。

 目に映るものは全て破壊します。』



 恐ろしい内容を聞かされて、女神はゴーグルを床に叩きつける。



『何を‥‥』



「アンタを壊して止める。」



 女神がゴーグルを踏みつける。



『プッ

 わ たしを壊 ても むだ す。

 オフ インって 明しま たよね?

 もう遅 です。』



「クッ!」



 どうする事も出来ず、苛立った女神は何度もゴーグルを踏み続けたのだった。

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