第540話 爆散

<女神side>


 斗馬のかぶる兜からの映像は女神のVRゴーグルと横にある大型ビジョンに映し出されていた。


 今まさにロドス騎士団の兵士が切り掛かっている。


カーン


 兵士の攻撃を斗馬が盾で防いでいた。


「女神様!?

 今の動きは??」


 攻撃を防いだ動きがあきらかにおかしかったので天使が不審に思ったようだ。


「いかなる人も斗馬を傷つける事は出来ません。

 女神の盾は自動で攻撃を防ぎます。」


 説明する女神の鼻息は荒かった。


 ただ、せっかく攻撃を防いだのに斗馬は反撃はしなかった。


「やっぱり、斗馬には人殺しは出来ないか‥。」


 女神は斗馬が自ら人を斬れるとは思っていなかった。


「斗馬が出来ないなら私がやる!」


 女神は覚悟を決めるとコントローラーを操作する。


 女神が斗馬の身体を使って、兵士に切り掛かった。


バシュ!


 斬られた兵士が爆散する。


 !!!!!


 その様子を大型ビジョンで見ていた天使達は驚く。なぜなら帝国最強を誇る兵士を一撃で爆散させたからだ。


「今の攻撃は何ですか?」


 並の攻撃なら傷一つ付きそうにない帝国兵士を防具ごと爆散させた威力に天使は納得出来なかった。


「ふふふ

 凄いでしょ?

 この『女神の剣』は相手の防御力を0にする力があるのよ。

 さらに斬った相手の今までの悪行によってその威力が変わるの。」


 女神が興奮気味に女神の剣の説明を話している。


「悪行によって威力が変わる‥

 ってことは今の兵士が爆散したのは‥」


「アイツは100人以上の罪の無い人を殺しているみたい。

 ただ死んだだけじゃないわ。

 この後、冥府に連れて行かれて永遠に罰を与えられる事になるの。」


 女神の説明に天使はゾッとするのであった。


「ちょっと待って下さい!

 『女神の剣』の凄いのは分かりましたが、斗馬さんに人殺しをさせていいのですか!!」


 いくらリモートで操作したからといって、現場では斗馬が斬ったことになっているのだ。

 斗馬が目の前で爆散した兵士を見てショックを受けていると天使は思ったのだ。


「チッチッチッ‥

 私がそんなヘマをするわけないでしょ!

 斗馬には兵士が数メートル吹っ飛ぶ映像が見えるようになってるの。

 まぁ、斗馬以外の人には爆散してるのが見えてるけど‥」


 女神なりに斗馬の心が壊れないように考えての処置だったが、現場ではそれが知らされていないので敵味方とも騒然となっていたのである。

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