第147話 席順


「とにかく、ソトの街に向かいますので席に着いて下さい。

 葵さん、イスカさんとサバルさんにシートベルトの使い方を教えてあげて下さい。」


俺はバスの扉を閉めると葵さんに指示を送る。


特に問題のない一言で争いが生まれるとは思いもよらなかったのである。


「今日はソフィアが居ないからの‥。

 この席はわしが座るぞ。」


アリアが待ってましたと小走りで運転席の真後ろの席に座る。


アリアの突然の行動にイスカとサバルは意図が分からず固まっていた。


そしてアリアが座った時に、その事実に気がつくのであった。


「「あっ、ズルい!!」」


二人の声が重なる。


「何がズルいじゃ!

 今後、この席はワレの席に決まったのだ!

 ほれ、お主達はその辺に座ればよかろ。」


アリアがニヤニヤしながら他の席を指差す。


「あの‥お客様、車内ではお静かにお願いします。」


一応、テンプレのアナウンスをしてみるが、もちろん3人には無視される。


「ちょっと、私は冒険者ギルドから派遣されたのですよ!

 トウマ様の後ろで監視する必要があるのです!

 なので、席を代わって下さい!!」


イスカがギリギリ正論をとなえる。


「そもそもギルドに属してないワレには従う義理もないのだが‥。」


アリアがド正論で応酬する。


「私はイスカを監視する必要が‥。」


サバルが2人に割って入るが即反撃に合う。


「だったら私の後ろでいいよね?」


イスカの言葉に黙り込むサバルであった。

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