第62話 どなたでしょうか?


「フンフーン!」


王様に用意してもらった場所にバスを出して、鼻歌を口ずさみながら車体を綺麗に拭いていた。


「斗馬さん、ご機嫌ですね?」


葵さんが話し掛けてくる。


「そりゃー機嫌も良くなるよ。久しぶりにバスを触れたからね。」


女神から貰ったバスには自動で車体を洗浄する機能があるが、機嫌良く車体を洗っている斗馬にあえて説明するほど葵は野暮ではなかった。


「天気も良いし、早く外を走りたいなぁ。」


サラ達に足止めされているので自由に外出出来なくなっていた。


葵は結果的に斗馬を不利な状況に追い込んでしまった事を後で聞いて、申し訳なく思っている。


斗馬の作業がほぼ終わった頃にサラ達が近づいてきた。


「斗馬様、ちょっと宜しいでしょうか?」


サラから声をかけられる。


「どうかしました?」


「ちょっと紹介したい人をお連れしました。」


サラが横に避けると一人の女性が前に出てきた。


年は30代ぐらいで、サラ達王族に負けないような豪華なドレスを着ていたので位が高い事がわかった。

気が強うそうな顔つきをしていて、斗馬は苦手なタイプであった。

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