第2話●2021年7月10日 サトシ・ナカモトのもう一つの贈り物
オレは酒を中心の飲食店をやっていた。
だから、今は休業中だが……
都度都度の「緊急事態宣言」、「まん延防止等重点措置」で店は疲弊した。
酒を出す店で酒を出しちゃいけないとか、やっていられない。
それでも何かやらなきゃと焦りがあった。
そして、上手い話に乗って騙された。
ビットコインってあるでしょ。
いま価格が上がっているからマイニングというお金を作ることをすれば大もうけできると言われた。
政府は無頓着に担保のいらない借り入れは飲食店だから簡単にできるので、カネを借りてビットコインのマイニングに投資すれば大もうけできる。
儲けたら、それで借金を返せばいいし、担保いらない借り入れなんだから失敗しても月々1,000円でも返す振りをすればいいんだからと、上手いこと乗せられた……
ビットコインのマイニングとは仮想通貨の通貨は計算して採掘するのだ。
リスクは無いからやろうと勧められて最新のパソコンを4台買わされた。
そして、300万円は払ったら、いきなり連絡が取れず逃げられた。
家には4台のパソコンと英語のマニュアルだけが送られて来た。
それでも1コインでもマイニングできれば、元は取れるとマニュアルを翻訳しつつ、4台のパソコンをつなぎ合わせた。
マイニングができるソフトウェアをインストールして起動した。
カウントアップされるが、その前にゼロがたくさん並んだ。
気が遠くなるような数、1コイン作るのに数年掛かりそうだ。
騙された。
オレはさらに自棄になった。
仕事で稼いでないがカネならあった。
国からの支援金、無担保で銀行から借りたカネの残り、「飲食店を救え!」と参加したクラウドファンディングの売上げ、なんだか知らないがカネだけはあった。
何もしたくなかったので温泉宿に転げ込んだ。
2、3日ぐたぐだした後、英語のパソコンのマニュアルに挟んであったロウで封印された手紙の中身を考えていた。
手紙には「Satoshi Nakamoto」という文字と間にコロンが入った6つの英数字、ただこれだけである。
まるでナゾナゾだ。
スマホで検索するとサトシ・ナカモトはブロックチェーンを考えた謎の創始者らしい。
6つの英数字は考えたが全然わからない。
ただ、わかるかも知れない人物を思いついた。
メールでアポを取り、家でZOOMを使ってやり取りすることにした。
「うーん、これはIPアドレスだね。どれ、こっちでは繋がらないな。違ったかな。もしかしたら、いまマイニングをやっているパソコンなら繋がるかも知れない」
そう、言われたのでマイニングパソコンでchromeブラウザを立ち上げて起動してみた。
英語で書かれたページとダウンロードのボタンが表示された。
英語には専用のブラウザ「beyond」をダウロードすればマイニングのスピードがアップすると書かれている。
ダウンロードして「beyond」を立ち上げると英語のサイトが表示されたが、位置情報をオンにすると日本のサイトが表示されたが、そこには知らない日本のニュースが流れていた。
ほとんど、どのサイトでも同じコマーシャルがでる。
「東京オリンピック予選中継 インターネット視聴10ドル、VR視聴30ドル、東京オリンピック本選中継 インターネット視聴10ドル、VR視聴30ドル」とポップアップウィンドウで表示される。
ニュースの内容が違う、メチャクチャ違和感を持った。
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この物語はフィクションです。実在する人物、団体、事件等とは一切関係がありません。
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