第10話 『噂の軍人じゃァァァァ!!』


 自衛隊の訓練基地。そこで特に優秀な成績を収めた若者がいた。

 彼の名を日下部 柊一(くさかべ しゅういち)。




 銃も体術も作戦式も、全てにおいて完璧だった彼は、多くの人間から期待されていた。




 しかし、ある事件がきっかけで彼は変わった。




 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎




 今日はとも子の夫の命日。とも子は墓参りにやって来ていた。




 バケツを持ったとも子が坂を登ると、一人の男が小さな墓の前で座っているのを見つけた。

 最初は気に留めなかった。しかし、とも子が夫の墓を掃除し、線香を焚いて帰ろうと坂を見ると、まだその男は墓の前で座っていた。




「バババババ! なんじゃ若いの? 死人でも見えたか?」




 男は答えない。




「見えるはずはないか。ワシにも見えん!!」




 そう言い、とも子は大きく口を開けて笑う。




「長年連れ添ったというのにワシの夫は一度も来てくれたことはない。なのにお前みたいな若造に死人が来ると思うか?」




 男は動くことはない。




「死人はここにはおらんよ。いるならここじゃない。ワシはそう思うのう!! バババババ!!」





 そうとも子は言うと坂を降りていった。

 しばらく経って男は立ち上がる。




「……その通りかもしれませんね。でも、僕にはこれしかありません」




 そう言うと墓に拳銃を置く。




「…………また取りに来ます」




 そして男は去っていった。





【後書き】


 真面目そうな回?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る