無意識下でも優雅さを…。

no.name

第1話

「ぐががぁあ〜」


「…………」


「ぐおおおぉぉ〜」


「…………」


「んが!…むにゃむにゃ」


 ぷうぅぅ〜


 ポリポリ(臀を書く音)


「……………」


「ぐががぁあ〜」





 ◇


「ごめん、俺達やっぱり合わないみたいだ」


 朝起きたら彼氏から別れ話をされた。


 そして、ヨダレまみれの酷い私の寝姿を動画で見せられた。


「ゴメン。なんて言うか百年の恋も冷めるっていうか」


 私は恥ずかしさのあまり死にたくなった。


「ゴメンな?」



 そして、私達は付き合い初めて2日で別れた。


 ◇


「はあ、マジで有り得ないよ。いっその事、何処か誰も私のいない所に消えさりたい」


 等とボヤきながら仕事に向かっていたら、えらく目立つゴスロリチャイルドが道を歩いているのに目が留まる。


「はぇ〜。めっちゃ綺麗な子だなぁ〜。キッズモデルさんとかかなぁ〜?いいなぁ〜。お持ち帰りしたいわァ〜。きっとモテモテなんだろうなぁ〜」


 なんてボヤいていたら


 キキイィィーーーと


 金切り音と共に突然、車が車道を越えて突っ込んできた。


「危ない!」


 反射的に私はその綺麗な女の子を抱き抱えて車を避けた。


 いや、その子、結構中性的という感じでね?


 等とアホな事を言い訳していると


 ドカーンと大きな音が後ろでおきた。


 後ろで車が今迄、私達の居た当たりに突っ込んでいた。


 今考えると我ながら中々の反射神経と反射能力である。


「ふいぃ〜。危ないところでした」


「……え?……あのあの、お姉さんお姉さん。アタシの事……見えますの?」


 今、正に事故に合いそうな場面だったのに、この美少女?はトンチキな事を私に尋ねてきた。


「はい?見えてるって、見えてるから助けたんだけど」


「ふむふむ。そうですわね。なるほどなるほど」


 そう言って美少女は暫く沈黙した後、突然ぶっ込んできた。


「お姉さんお姉さん。本当は必要無かったのですけど一応、助けてくれてありがとうです。お礼にアタシがお姉さんの望む此処ではない何処かにご案内しますです」


「………は?どういう事?」


突然のフリに頭がついて行かない。


「あれ?お姉さんは今、誰も自分を知らない処へ行ってしまいたいって思っているんですよね?」



「はぇ!?なんで知ってるの!?」



「だってアタシが見えてるって、そう言う事だよ」


「本当にどういう事?」


「アタシは、東洋地区担当の次元渡航案内人を務めております遥彼方と申しますわ。以後お見知り置きを…」


「案内人?」


「そうですわ。そして、お姉さんの望みを唯一叶える事の出来るディメンショントラベルガイドですわ!」




 これが、私達の最初の出会い。




 奇妙な職業のプリティレディーと私の不思議な不思議なお話の始まり。




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