夏の日

バブみ道日丿宮組

お題:黄色い夏 制限時間:15分

夏の日

「……」

 葬式。

 それは人が旅立つ日。

 これは僕の葬式だ。

 皆悲しそうにしてる。大して仲良くなったクラスメイトたちも泣きそうになってる。さすがに問題児だったやつはきてない。きても臭いし迷惑になるからよかった。きてほしくもなかったし。

 哀愁感が僕の中に広がってく。

「……」

 僕は愛されてたのだろうか。

 こんなにも多くの人に思われるほど、存在感があったのだろうか。

「どうかしましたか?」

 天使が僕の側をふわふわと浮いてた。

 導き手ということで、この夢うつつな世界に来たときに説明された。

 死者をあの世に連れてくのが仕事らしい。

 それにしても天使か。くるのは悪魔だと思ってたのに。

 はぁ……。

「なんだか、行くのがもったいない気がして」

 視線を天使から、地上の人に向ける。

「皆さんそういいますね」

「そうなんですか」

 長生きしたかったとは思わない。突然死にたいとも思わなかった。

 けれど、現実は突然死。

 心臓発作が起こったのだという。起こった原因は不明。

「健康な身体と思ってたのに」

「完全に健康なんて人はいませんよ。誰しも問題を抱えて生きてるのです」

 そうなのか。

 まだ十数年しか生きてない僕には実感がわかなかった。

「さぁて行きますか。もう残っててもやることはありませんので」

 ひらひらと天使が宙に上がってく。

 僕自身も上がってく。

 これが死ぬということなのか。

「……さようなら」

 あの世でまた会おう。

 そうして僕はこの世と別れた。

 まだ暑くもない夏の日のことだった。

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夏の日 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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