第15話 準備

小昼


迷う。ものすごく迷うぞ。

パスタの定番ソースと言えばトマトとクリームだろうか。

香久山さんはどちらを好むだろうか。

もしかしたらどちらも好まないかもしれない。

俺個人として好きなのは海鮮系なのだが。これも違うかもしれない。

こうなったら数で勝負するしかない。

時間はまだある。材料は沢山ある。

自棄だ。




~~

ピンポーン


やけに早いな。


「こんにちは、香久山さん。入って」

「う、うん。お邪魔します。」

「まだ作り終えてないから少し待ってて」

「手伝おっか?」

「いや、いいよ。すぐ終わるから」

「そっか。」


「君が香久山さん?いらっしゃい」

「か、片瀬君の彼女..さんですか?」

「うん。そうだよ」

「そうですか..。」


「おい姉さん。冗談は良いから自己紹介しなよ。」

「ほーい。ごめんね少し意地悪したかな。私はこいつの姉の冬香ふゆか。よろしくね~」


「いえ、私が勝手に勘違いしたのが悪いんです。私は香久山恵です。」

「恵ちゃんか~。可愛い~♡その髪色は地毛?」

「少し染めてます。もともと薄い方なんですけど」

「そっか~。いいね。似合ってる」

「ありがとうございます。冬香さんもとても綺麗です。」

「ん~。イイ子」


少し二人の世界に入り始めた。

まあいい。昼食の準備を終わらせよう。

あとはオムレツだな。これは得意分野だ。すぐ終わらせよう。



~~


「おーい。できたぞ。」

「おっ。恵ちゃん期待しててね。秋は料理だけは得意なんだよ」

「うるせぇ。」


パスタのコンセプトはハーフ&ハーフ。一人一つある。

計6種類ある。ミート、トマト、クリーム、和風、海鮮、オリーブ。


これならどれか一つは当たるだろう。


「え、これ。手作り?」

「まぁな。香久山さんの好みの味が知らなかったから一応多く作った。」

「馬鹿だね~秋。あんたの味ならこんなことしなくてもいいでしょ。」

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