第2話 初めての戦闘と経験値
オズワールドファンタジーの世界に、〖チビクロウラ〗として降り立った私ことオリン。
周囲は木々に囲まれた森の中でした。
周囲を見渡してみてもちょっとやそっとじゃ抜けられそうもない…………。
現在地とかどうすればわかるんだろう…………?
これかな?………あれ?何?コンフィグ?ゲームメッセージスピード?
えっ?えっ?これどうやって出るの?あっ!何か変えちゃった。
待ってこれどうやって元に戻すの?
えぇっと、これくらいだったかな?…………何か違う気がする。
助けて紬ぃ…………コンフィグ画面から出られないよぉ…………。(涙)
その後四苦八苦しながらも何とか偶然にもマップを確認できた。
けど今度はマップの閉じ方がわからない、でもまたマップを見たくなった時に困るのも嫌だから、視界いっぱいに広がる半透明のマップをそのままにして一先ず近くにあった村に向けて進むことにした。
誰かに会ったらマップの消し方を訊こう…………。
イッモ――――――イッモ――――――。
〖チビクロウラ〗移動時の独特の効果音を響かせながらゆっくりのんびりと移動する。
とても緩やかなペースで全然忙しくないのが心地良い。
ちょっと移動スピード遅いかな?とも思うけど、ゲーム初心者の私にはこれくらいで丁度良いのかもしれない。
だって早過ぎても目が回っちゃうし、気持ち悪くなっちゃうから。
ゲーム出来る人は効率だとかを考えるのかもしれないけれど、私はのんびりで良いや。
「ヒュールルルルル」
聞き慣れない音がした方へ視線を向けると、緑色の半透明な球体がふわふわと浮かんでいた。
確かこれってチュートリアルで見た……………たぶん敵だよね。
向こうは完全に私の事をロックオンしてるようで、ゆっくりと近付いて来る。
私は迷わず逃げ出すことを選んだ。
戦うなんてとんでもない、幸い相手はそんなに早くないみたいだから逃げられるだろうと思っていたんだけど…………。
イッモ――――――イッモ――――――。(1速)
イッモイモ――――――イッモイモ――――――。(2速)
イッモイモ――――――イッモイモ――――――。(………2速限界トップスピード)
…………何故か微精霊に悠然と回り込まれてしまいました。
結構頑張って逃げたつもりだったのですが、普段私が歩くのよりも遅い気がしましたけど気のせいでしょうか?
認めたくはありませんが、オリンは敵としては最弱の『微精霊』よりも移動速度が遅いらしいです。
という事は、オリンは敵と遭遇してしまったが最期、絶対に逃げられないから確実に戦わないといけないんですね。
何時如何なる時、誰の挑戦でも受けて立つとか言うつもりはないんですけれども……………ま、まぁ相手は一匹だけですから何とか頑張ってみましょう!!
行きますよ!オリン!
(15分後…………)
…………………。
…………………。
リスポーンまであと――――――。
勝てませんでした…………。
微精霊の攻撃は全然大したことなかったのですが、こちらの攻撃が全然当たらなくて1ダメージとミスの応酬という最悪の泥仕合の末に負けてしまいました。
<攻略のヒント>
強敵には積極的にスキルを使ってみましょう。
思わぬ効果で戦闘が有利になるかも?
復活を待つ間、誰も居ない真っ暗な空間にそんなメッセージが表示されています。
スキルですか、確かオリンも何か覚えていたはずですね。
私はステータス画面を開いて今現在習得しているスキルの一覧を表示させます。
〖拘束攻撃:E〗
1個だけっ!?
あの〖マンドラゴラ〗でさえ初期スキルは2つも有ったのに!?
1個は自爆攻撃だからノーカンなのでしょうか?線引きがよくわからないです。
それにしても〖拘束攻撃〗ですか、相手を動けなく出来るのであればオリンの攻撃も今度こそ当たるかもしれません。
もしそうなれば少なくとも微精霊と1ダメージで殴り合う事は可能かもしれません!!
運が良ければ勝てるかもしれません。
何かの本で『継続して努力を続けるのならば、まずは実現可能な目標から立てると良い』と書いてあった気がします。
それならば私はまずは『微精霊に勝つ』というのを目標に掲げることにして、復活後早速リベンジすることにしました。
「ヒュールルルルル」
今度は半透明の青色の微精霊が相手です。
先ほどの様には行きません!
スキル〖拘束攻撃〗発動!!
シュルシュルシュルシュル――――――――――……………。
オリンの多分口の部分から一本の真っ白な紐状のものが発射されました。
これはもしや『糸』…………?
粘着力があるらしいそれは微精霊にくっついて、藻掻くほどその体に纏わり着いていった。
やがて蛇口を閉めたホースの水のように糸は最初の勢いを失くしてしまい、どうしたのかと思えば単純にオリンのMP切れでした。
けれど微精霊は浮遊能力も失くしてしまったのか地面に落ちた後、確実に糸に捕らわれていて身動き出来ない状態の様です。
イッモ――――――イッモ――――――。
のそのそと近付いて行くと、身の危険を感じたのか微精霊が更に激しく藻掻き始めて糸もどんどんくっついて行きます。
微精霊の傍までやってきたオリンはゆっくりと上体起こしの様に仰け反ると、
「てあーーーー!!」
という掛け声(※凛香の気合的なもの、ゲーム内のオリンは喋ってません)と共に、力いっぱいに微精霊が消えるまでヘッドバットし続けたのでした。
経験値を得るのってとても大変な事だったんですね。
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