悪女の農民ライフ

第1話悪女として生きていきます

「お嬢様！王太子殿下がお見えになってます」

メイドは雄たけびを上げながら入ってきた

ただならぬ様子である

「分かったわ、今向かいます」

この展開は分かっている。私はこの後王太子殿下に婚約を破棄されるのだ

「お待たせいたしました殿下、今回はどのような御用で？」

「何が御用だと、お前もわかっているはずだ！」

「はて、なんのことでしょうか」

この世界は「ラブファンファーレ」と呼ばれる乙女ゲームが原作となっている。この私は、主人公のいじめる悪役【リリス】と呼ばれるとしてこのゲームでは有名である。

リリスは王太子殿下のことを愛していた。そして、その王太子と婚約までしていたのだ。しかし、その王太子はどこぞの馬とも知れない平民の【カナリア】に恋をしてしまい、リリスは婚約を破棄されてしまう。

それが今日なのだ

「今日は貴様との婚約を破棄しに来た！俺はここにいるカナリアと結婚するんだ」

あーあ、何を言い出すかと思えば婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、、、、わかっとるわ！さっさと終わらせて俺は平民としていくんじゃい！

あ、なんで女なのに【俺】って言ってるのかって、それはわたくしめが男性だからに決まっているではありませんか

そう！この俺は野子乙女ゲームをしている最中に寝てしまい、気づいたらこのゲームの中に入り込んでしまっていたんだ。

最初は絶望したよ、だって男のアレがないんだもの

だけどな、気が変わったんだ。せっかく異世界に来たんだから貴族とか王族とか関係なしに平民として生きて生きてぇ！

だってその方が楽じゃん、縛りプレイだよ悪役令嬢なんて、、、

まあ、なってしまったものは仕方ないとして、せめて王女になるのだけはごめんだね。

そういうわけで、俺は平民を目指す！異論は認めん！

「そうでしたか、ではさようなら。もう二度と会うこともないでしょう」

「うん、そうだよな、、、ん？んんー！」

カエルが泣いたような無様な鳴き声が家の中に響き渡った

うん、スッキリ～これであの王太子とも離れて生活できるぜ

「じょ、冗談だよな、、お前は俺のことあれほど好きだったではないか。それが何で今になって受け入れられるんだ」

このアホ王子まだわかってないのかよ、お前といると面倒ごとが増えるんだよ

そうならないように、ここですっぱりと縁を切っておく必要がある

「何も今からの事でもありませんわ。わたくしは昔からあなたの顔が好みではなかったのですわ」

王太子は顔を真っ赤にしてこちらに詰め寄る

カツ、カツ、カツ

「貴様！誰に向かってそのような口をきいている。いいだろうこれから貴様は貴族の身分をはく奪し、平民として生きていくんだな」

涙目になりながら王太子言った

やばい笑、王子の顔が面白すぎる

「ええ、いいでしょう！この私リリスは平民として生きていくことをここに誓いましょう」

やっとこれで平民ライフが始まるぜ