第3話:刺客
「オードリー様を護りなさい」
クローディアがそう口にした時には、もう護衛の戦闘侍女たちが私の周囲を固めてくれています。
「「「「「はい」」」」」
私の周りを固めている戦闘侍女は五人もいます。
成人の者もいれば、同じ王立魔術学園の生徒もいます。
常に私を護るために、学院生も護衛に選ばれているのです。
そして着替えやトイレにも一緒に来られるように、女性だけの護衛です。
女性ではありますが、全員が男性にも劣らない戦闘力の持ち主です。
「油断しないで、王家の護衛と同じ技を使うわよ」
「「「「「!」」」」」
刺客たちが、クローディアに思いもかけない事を言われて動揺しています。
自分たちの素性を知られて驚いているのでしょう。
ですが、いかにクローディアでも攻撃前から刺客の流派が分かるはずがないです。
敵を動揺させて実力を発揮させないための舌鋒です。
それと、敵が王家だと確かめるためでもあるでしょう。
私は国王の姪孫とか大姪とか呼ばれる存在です。
長年王位を継承するのに相応しい子供に恵まれなかった国王は、しかたなく父上を王位継承権第一位にしていました。
ですが、自分の子供に王位を継がせたかったのでしょう。
節操なく離婚と再婚を繰り返して、五人目に娶った王妃から、ようやく王位を継承できるだけの魔力を持った子供を授かることができたのです。
そうなると、父上や兄上が邪魔になってくるのです。
普通に父上や兄上の王位継承権を下げただけでは安心できないのか、王子と王女の魔力が王継承権者としては最底辺なのを気にしているのか、度々父上と兄上に刺客を放って来ています。
しかし、女の私にまで刺客を放ってくるとは思いませんでした。
このような設定はなかったはずなのですが、誰かが後付けしたのでしょうか。
「ギャッ」
私を殺すために万全を期したのでしょう。
王家が放った刺客は十五人もいます。
それなのに私の護衛は六人だけです。
しかもいきなり窓を割って襲いかかって先手を取ろうとしたのです。
クローディアが舌鋒で動きを止めてくれなければ、相当危険だったでしょう。
「グッワァ」
クローディアが、風のような速さと雷のような激しい攻撃力で次々と刺客を斃していきますが、疾風迅雷という言葉が頭に浮かぶ強さです。
「「「「「ギャッ」」」」」
私の周囲を固めている五人の護衛も、手裏剣を飛ばして刺客を斃します。
呼吸をするよりも短い時間、一瞬で七人の刺客を斃したのです。
ですが完全に形勢が逆転したとは言い切れません。
敵はまだ八人もいるのです。
それに、敵は刺客の八人だけとは限らないのです。
「パトリシア様を連れて逃げなさい。
その場に留まるのなら安全のために攻撃しますよ」
私はパトリシアの護衛に厳しく命じました。
そう、パトリシアと護衛が王家に味方する可能性があるのです。
パトリシアのグロヴナ公爵家は四代前に王家から別れた名門公爵家です。
魔力的に王位継承権があるかどうかは私にも分かりませんが、国王や王妃に疑いの目を向けられないように、私を生贄にする可能性があるのです。
さて、素直にこの場を離れてくれればいいのですが。
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