ミックス猫の苦悩「カワイイって言われたかったの」

ミックスの妹猫 自他ともに認める狂暴猫。だが!顔は超可愛い。

         保護施設から引き取られて4カ月経つも、狂暴。

      兄猫ともケンカが絶えず。兄猫は日中、部屋から逃げ出した。

      噛む&猫パンチ炸裂で、飼い主さんの腕は生傷が絶えず。


この状況をどうにかしたいと、飼い主さんから相談されたので、

まずは、兄猫から話をしてみる事に。


「兄猫君、妹猫の事は、どう思ってるの?」

<アイツは、自分以外は敵!!って思ってる。

 俺は、アイツ次第だ。敵意が無ければ、何もしない。

 今は、敵意バンバン飛ばしてるから、別の場所に逃げてる。

 ストレスが貯まるから、避難させておいてくれ。>


兄猫君は、飄々とした話しぶりで、妹猫に敵意はない。

ただただ、妹猫が狂暴なんだね。了解。

次、妹猫ちゃんと話をしてみよう。


「妹猫ちゃん、こんにちは。

 飼い主さんを噛んだらいけないよ。」


<はぁ??> さっそくキレる妹猫・・・。


「君は家猫になったんだから、飼い主さんを噛んだらいけません。

 ご飯を貰ってる人に、失礼じゃない?感謝しないの?」


<あのねーーー!!私はノラ猫だったの!!

 母猫に「人は敵!!」って教わったの!

 ご飯貰っても、人におもねる事はしない!

 それとこれとは別なの!

 狂暴じゃないと、ご飯奪えないのよ!

 ノラ猫は狂暴じゃないと、生きていけないの!!

 私以外は敵なの!!>


「野良ネコの矜持」炸裂(-_-;)


「あのね、君はもう家猫なの。

 狂暴でなくても、ご飯食べれるの。

 だ~~~~れも、君のご飯を奪ったりしないよ。

 狂暴である必要はないの。」


おもむろに、ご飯に近づき、ゆっくりと食べる妹猫。

そう。同じ部屋に兄猫はいるが、取ったりしない。

狂暴である必要がない事に気づいた妹猫。


《 ガラ・・・》

     

 野良猫の矜持が・・・    


そんなアナタでも・・・こんなに狂暴なアナタなのに・・

「飼い主さんは、妹猫ちゃんが可愛くて大好きだって言ってるよ。

 大好きだって言ってくれる飼い主さんを、噛んだらいけないよね?」


 《ガラ・・・ガラっ・・・》

  ゆっくりと・・・



「妹猫ちゃんのお顔が可愛い~~。大好き~~って言ってますよ。」


《 ガラガラガラ・・・・ガラガラガラガラ・・・・》

  崩れ落ちて・・いく・・・




<・・き・・狂暴なのに??>(狂暴を自覚してる妹猫)


「狂暴でも!顔が可愛いから、全部許す!

 そこにいる、そのまんまの君が、可愛くて大好きですよ♪」



<狂暴でも・・・カワイイって言ってくれるの・・?>


何度でも言うぞ!

「そうだよ~。カワイイよ~♪

 保護施設から引き取ったのも、カワイソウだったからじゃないよ。

 君がカワイイから、お家に引き取ったんだよ。

 お顔はとってもカワイイよ。だぁ~~い好きだよ。」





<ミ・・・ミックスでも・・・?>


「いやもう全然っ!ミックス関係なし!!

 妹猫ちゃんのお顔は、超~~~カワイイよっ!」



<ホントに?ミックスでも、カワイイの???

 純血種の猫に言われたの。

 ミックスは、かわいくナイ!って。

 ホントに?

 ミックスでも カワイイって、言ってくれる・・・の?>


「かっわいいーーーーよ!お父さんもお母さんも、

 妹猫ちゃんのお顔が可愛くて、だ~~~い好き!!!だよ」




《ボタっ・・・ボタボタ・・・・》

 妹猫の目から、涙が零れ落ちる・・・


<う・・・うわぁ~~~~~~~~んっ

 き・狂暴なわたしでも、カワイイって 言って くれるの?>


「うん、カワイイよ!

 今まで生きるのに、大変だったね。

 狂暴じゃないと、生きてこれなかったもんね。

 妹猫ちゃんは、カワイイよ。大好きだよ!!」


《ボタボタボタボタ・・・・・・》

<お父さん、お母さん、ありがとうっ。大好きっ>


目の前の妹猫ちゃんは、変わらずそこに佇んでいるけれど、

心の中は、号泣号泣…大号泣(ノД`)・゜・。

「野良猫の矜持」が完全崩壊し、

「カワイイ」と言われて、幸せな気持ちに包まれる妹猫ちゃん。


何度でも伝えよう。

「お父さんもお母さんも、妹猫ちゃんがかわいくて大好きだよ」



妹猫ちゃんが、テレながら言います。

<あのね、細くて赤いリボンを首の斜め上でオシャレに結んで、

 鏡の前で、えへっって小首をかしげてポーズを取って、

 かわいいお写真を撮って貰いたいの>


「ハイ!了解っ!!お母さんに伝えましょう♪」


妹猫ちゃんの希望を、イラストにして、飼い主さんに伝えた所、

翌日には、真っ赤なカワイイおりぼんを結んでくれました。


前日まで、そぉおっと撫でるだけでも命がけだった妹猫ちゃんが、

首に赤いリボンをつけて、まんざらでもない顔をしています。


飼い主さん曰く

「ホントに同じ猫なのか?と、体の柄を確認しました」( ̄▽ ̄)


狂暴猫を止めた妹猫ちゃんは、噛むことも猫パンチも止まりました。

条件反射で未遂になった時は、

<噛んだら、お母さんに嫌われちゃうよね>と、反省をしています。


お母さんから「カワイイ」の言葉のシャワーを一杯浴びて、

妹猫が、見た目と同じ性格もカワイイ猫になる日は、すぐそこです(*^_^*)

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