元保護犬のプー太 ボクを邪魔にしないで

プー太 元保護犬

    お兄ちゃん以外の家族は、みな噛まれている。

    家族には、噛む原因(スイッチ)が判らない。

    いつ噛まれてもおかしくない状態で、家族は逃げ腰。

プー美 同居犬。優しい。

    プー太が噛みつきそうな気配(うううと唸りだす)を感じると、

    周りに、吠えて教えてくれている。


何故、噛むのか? を聞き出す為に、プー太に語りかけた途端、

<ボクをっ・・・ボクを邪魔にするなぁぁあああああっ!>

プー太が泣き叫んでいる。


ヤバい・・・。

プー太の身体に黒いモヤが視える。

怒りで心が黒くなり掛けている・・・。このままでは、マズい。


先に、プー美に聞いてみる。

「何故、プー太は人を噛むのか?家族をどう思っているのか?」と。


プー美ちゃんが、詳しく教えてくれました。

<プー太は、お父さんとお兄ちゃんは、恩人だと思っている。

 保護される前の飼い主が、プー太の事を

 「お前、邪魔だー!どけーっ!」って邪険にして、

 叩いたり、蹴ったり、押し入れに閉じ込めたりしてた。

 だから今も、お父さんとお兄ちゃん以外の人を信用していない。


 プー太は、自分を邪魔だと思う人の気配を、敏感に察知する。

 (逃げなきゃいけなかったから)

 人が自分の事を「あっちに行ってって思ってる」と感じたら、

 「ボクを叩くな!邪険にするな!!」っていう怒りがわいてきて、

 家族を攻撃してしまっている。

 私は、プー太が怒ってる気配が判るから、怒ってるよー、

 逃げた方がいいよーって、吠えて教えてる。


 プー太が、自分は皆から愛されている。

 邪魔になんかされてないって確信できたら、噛まなくなると思う。

 だけど、今のプー太はガウガウ噛むから、皆、嫌だなって思っちゃうよね。

 そしたらプー太は、自分は邪魔にされてる、愛されてないって、

 悲しくて又怒る。

 悪循環になってるの。

 じっくり話して、判ってくれるといいのだけれど。>


プー美ちゃん、ありがとう。

悲しくて寂しくて、プー太は噛んでいるんだね。

プー美ちゃんの言葉を頭に叩き込んでから、再度プー太と話していく。


プー太

<ボクを邪魔にしないでーーーーー!

 誰も僕を可愛いと言ってくれない(噛まれて怖いんだよ(-_-;))

 ボクは、要らない子なの?

 嫌われてもいいから、ボクを邪魔にしないで!!>

 (その悲しみが怒りに変わって、噛んでしまっているプー太)


「大丈夫。皆、プー太君をウチのコだと思っている。

 邪魔なんかじゃないよ。

 皆、プー太君の事を、大好きだよ。

 この家で、幸せになって欲しいと思っているよ。


 どうすれば、邪魔にされてないって思える?」


<「可愛いプー太君」と、一声かけてくれると、安心する。

 そこ退いてとか、あっちの部屋に行ってて、

 ちょっと待っててとかを言う時、言葉の前に、

 「可愛いプー太君」を付けてくれると、安心するし嬉しい。>


「判った。皆に伝えるね。

 大丈夫。皆、プー太の事を大好きだよ。

 君は、この家に幸せになる為に来たんだよ。

 誰も君を邪魔にしない。叩いたりしないよ。安心して。


 但し、

<絶対に噛まない>

 これは、君がこの家で暮らすために、絶対に守るべきルールです。

 いかなる理由があろうと、家族を、人を噛んではいけない。

 可愛いプー太君、約束だよ。頑張ろうね。」


コミュニケーション直後、プー太の顔から、険しさが消えました。

いくらか心が落ち着いたようでした。

家族の皆さんには、<可愛いね>の言葉のシャワーをお願いしました。


1か月後、すっかり穏やかな顔になったプー太君と再コミュニケーション。

<お父さんもお兄ちゃんも大好き!

 あのね、赤ちゃんはいい匂いがして大好き!

 赤ちゃんのお顔を、もっと近くでみたいな。

 ボクは、赤ちゃんが大好きだから守るんだ!

 絶対に人を噛んだりしない!!>


プー美ちゃんも<大丈夫よ~>って、太鼓判押してくれました。

もう、プー太が家族を噛む事はありません。

この子は、大丈夫です。




保護犬を引き取った時は、何が心の傷なのか?

どのワードがダメなのか?

お互いの為に、コミュニケーションして頂けたらなと思います。

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