第24話 ep2 . 『蜜と罰』 溶けていく理性と砂糖菓子

互いが求めてあっているのがその重なった唇から伝わってくる。


生まれて初めての甘い感覚に腰が抜けそうになる。


甘く柔らかく、心まで溶けるような感触。


少年は令嬢の細い腰に手を回す。


重なった身体が一つに繋がっていくような感覚。


令嬢の髪や身体から熱を帯びながら立ち昇って来るかのような甘い香り。


キスってこんなに甘いものなのか?


生まれて初めての経験に少年は戸惑う。


とろけていく意識。


二人はお互いの深い部分までゆっくりと確かめるように口づけを交わす。


それだけでもう意識が飛びそうになる。


甘い蜜。


どうして?


どうして気が狂いそうになるほど甘いんだ?


少年は訳も分からず夢中で令嬢を抱き締める。


やんごとない御身分のお姫様の血は蜂蜜で出来ているのか?


それともお姫様の主食は蜂蜜?


そう思わずには居られないほど令嬢の身体は甘い香りと味がした。


彼女の身体は全部が甘い?


確かめたくなった少年は令嬢の白いうなじに顔を埋めた。


その細く白いうなじもまた甘い香りに包まれている。


少年は令嬢の甘い身体の中に自ら溺れていく。


令嬢のあらゆる箇所、味を確かめてみてもどこまでも無限に甘い。


“女の子は砂糖菓子で出来ている”という言葉。


少年もどこかで聞いた事はあった。


それは比喩表現だと今まで思っていた。


しかしそれが言葉通りのものだということをたった今、その身体に思い知らされた。


令嬢の身体は本当に全部が砂糖菓子で出来ているのだろうか?


既に全身の力が抜けている令嬢の身体を抱き抱え、白いベッドの海に二人で沈んでいく。


華奢で白く甘い身体をゆっくりと撫でる。


令嬢の両手首を掴み、白いベッドの枕の脇に沈める。


身動きの取れない令嬢は切ない瞳で少年を見上げる。


再びその口づけを重ねる。


何度唇を重ねてもその蜜は甘く柔らかく溶けていた。


100年でも1000年でもずっと溺れていたいような蜜の海。


その傷跡も何もかも、令嬢の身体の一切合切を少年はそっと包み込む


砂糖菓子のような身体。


少年に触れられるとその身体は大きく波打った。


足の先から爪先のてっぺんまで。


身体のあらゆる箇所全てが白く甘く壊れそうな存在だった。


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