IQ148のうつ病患者から見える世界、あるいは哲学かぶれの覚え書き

モホロビチッチ不連続面

1.まずは自己紹介(飛ばして良し!)

 いきなりだが一つ謝罪することがある。この作品のタイトルにある『IQ148』の部分だが、これは私の『言語性IQ』に限った話で、『空間性IQ』を含んでいない。この空間性IQの一部の項目が非常に低い(一般に障害と認定される80のラインを切っている)ため、総合的なIQでみると130後半程度になる。それでも十分高いほうだと思うし、文章作成能力に限ればIQ148であっているし、何よりタイトルとしてインパクトが欲しかったからこの数字を使わせてもらった。しかし厳密な話をすれば看板に偽りありである。ここで深く陳謝したい。


 閑話休題


 さて、私の経歴の話をさせてもらおう。幼稚園児、小学生の期間を地元でいじめられながら過ごした後、少し離れた中高一貫の中学に入学。中学生から高校1年までの期間をダラダラと過ごしてから、高校2年生で覚醒し勉学に一心に打ち込んだ。この間小説やアニメを鑑賞する時間も諦めなかった結果一日の睡眠時間は3時間ほどとなったが、不思議なことに毎日が活力にあふれ、それなりの努力の甲斐あって模試では何度か学内1位を取った。全国偏差値80を叩き出したこともある。母がうつ病で自殺するというアクシデントはあったものの、一応この辺りが私の人生の全盛期に当たる。


 つまり、後は落ちるだけ。


 おかしくなったのは、高校3年生の夏からだ。朝起きるのがつらくなり、人の声が怖くなり、文字を読むことが出来なくなった。祖母とおじさんに連れられ受診した精神科で、降りた診断は『うつ病・ADHD・自閉症』。役満である。元々生きづらいと思うことは多々あったものの、人生とはそういう物だと思っていたから、この時まで、私の人生が他の人よりも生きづらいものであったことに気づかなかった。


 文字も読めず、人の話も理解できない以上、授業に出ていても仕方ない。私は高校3年生のほとんどを、高校の保健室で寝て過ごした。授業を一切受けず、出席日数だけを稼ぐ毎日。そんな生活を続けていては、志望校に受かるはずもない。(そもそもこの時点では夢も希望も完全に失っており、進学する気が無かった) 私は高校の先生に言われるままに地元の国立大学を受験した。受験は別室で行われ、試験中は何度も吐いてエチケット袋を真っ黄色にし、何度も椅子から崩れ落ちた。それでも一応、必死で試験問題に食らいつき、回らない頭を必死に回して空欄を埋めた。


 私のあがきは無駄ではなかった。どうせ落ちているだろうと諦めながら確認した合格者一覧に、私の名前はあった。私自身は「絶不調の人間がうかるようなレベルの低い大学に合格してもしょうがないのではないか」などと不届きなことを考え憂鬱だったのだが、私の祖母が随分と大げさに喜ぶので、段々と私もその気になって喜ぶことができた。(ありがとう、おばあちゃん)


 さて、迎えた大学1年生。意外なことに、この間はこれといった問題はなかった。どうも私のうつ病は受験ストレスによるものが大きかったらしく、またうつ病になった時に権勢欲とか物欲から完全に開放されていたから、私は全国と比べれば中の下程度であろうキャンパスライフを、それなりに満たされて過ごした。


 このまま順調に行けば良かったのだが……。


 大学2年生の夏ごろに、うつ病が再び悪化した。今度のは非常に重く、半年間も入院する羽目になった。それでも治療の甲斐あって何とか持ち直し、大学の先生方の協力もあって何とか1年遅れて進級することが出来た。この入院生活のあたりから、『生きる』ということを真剣に意識するようになり、いくらかの哲学書や自分の専門とは関係のない書籍に手を出し、入浴中や、布団にくるまって寝るまでの時間を思索に費やすようになった。


 そして現在大学3年生。難化し、増大する大学の課題に耐えられなくなり、ついに現実逃避して書いたのがこのエッセイと、私の小説[戦禍にきえた死霊術師『フレデリカ=デミュエル』の列聖提案、ならびにその根拠たる医術的功績の追認……というよりは、『お花の観察日記かなぁ』]である。まだ習作ではあるが、改稿を繰り返し、いずれは秀作に仕上げるつもりである。


 さてこのエッセイ短編集についてだが、基本的には私のような正気を失った人間からこの世界がどのように見えるのか、ということをダラダラと書き連ねていく予定である。その性質上、私が上手く一般人に擬態できている限りは続きが出来ることは無い。もしこの作品の続きが読みたいという方がいらっしゃったら、私に不幸があることを祈っていただければよろしい。


 どうか、末永くお付き合いを。

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