第34話 筆記

――王都・冒険者ギルド。


「第二の試験も問題なく合格ですね」


第一試験を受けた三日後、俺はギルドで第二試験を受け。

そして合格した。


正直、一発通過は無理かなと思ってたんだが……


「おめでとう」


「ありがとうございます。でも……テストって、もっと魔物関連だとばっかり思ってたんですけど……」


二つ目の試験は、金級に上がるのに相応しい知識が備わっているかを確認するための筆記試験だった。

俺はてっきりその辺りの知識が求められると思い、三日間、ギルドにあった魔物や素材に関する書物を寝る魔も惜しんで読み漁った訳だが……


テストの内容は、俺の考えていた物とは全く違う物だった。


あ、因みに、既に金級だったガンドさんやエルフ姉妹からテストの内容は聞けていない。

基本的に、テスト内容は口外禁止にされているからだ。

まあそれがどこまで守られているのかは定かではないが、少なくとも、彼らはきっちりその辺りを守っていた訳である。

まあ、真面目な人達だったからな。


「ははは。一般教養ばかりで驚きましたか?」


そう、テストは一般教養だった。

地理的な物や、この国の貴族家の名前だとか、そんなんだったので、俺的には死ぬほど簡単な物だった。


ジョビジョバ家は力こそ正義の家門だけど、そういった知識を軽んじてる訳じゃないからな。

俺もちゃんとその辺りの教育を、子供の頃から受けている。


「ええ。てっきり仕事関連だと思って、この三日間、寝る間も惜しんで勉強してたんですけどね」


「そうみたいですね。まあ私はそれを見て『ああ、関係ない努力をしてるなぁ』とか思ってんですけども」


ヤングさんが悪戯っぽくそういう。


「そうですか……」


まあテスト内容を漏らす訳にもいかないから、俺に伝える事も出来なかった。

そう思う事にしとこう。

でないと腹が立つから。

まあちょこっとだけだけど。


「まあ魔物や素材の知識なんて、有名どころは依頼を受けてから調べるのも簡単ですからね。ですから、その手の知識を今現在有しているかは、それ程重要ではないんですよ。そんな物より、最低限の教養があるかどうかの方が重要です。少なくとも、金級に上がるのなら、ね。おバカさんが金級に紛れ込んだら大変ですから」


「なるほど……」


確かに、調べればすぐに分かるのなら、知識を得るのは依頼を受ける前後でも全く問題ない。

事前に知っていないと駄目な理由は特にないからな。


「さて、次の試験ですが……最後の試験は、任務遂行能力を試させて頂く事になります」


「遂行能力ですか」


「どんなに個人能力が高くても、状況に応じて柔軟に依頼を達成できない人間では、話になりませんから。それと先程話した知識、その調査能力の確認でもありますね」


知識は依頼を受ける前後でも構わないと、ヤングさんは言った。

それは裏を返せば、必要な物を、依頼に際してきちんと用意出来る能力。

それがある事が大前提だって事である。


どうやら次のテストは、その辺りの能力も求められるみたいだな。

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