エピローグ
「おーい、生きてますか、おーい」
アキハルが目を覚ますと、優しい光を
見渡せば一面、無造作に死体の転がる天守閣――起き上がろうとした躰の節々に、痛みが走る。
痛みを感じるということは、まだ生きているということだ。
「
「ええ。
少女は静かに笑って「これから私、どうすればいいんでしょう」と言った。
「ずっと
「……」
アキハルは無言で、少女の言葉を見守る。
「ねぇ、一つだけ教えてください。さっき言いましたよね。私が生きてきた日々は、
その表情には期待と、不安が入り混じっていた。
アキハルは少し間をおいてから、口を開く。
「
「ズルい答えですね」
「大人ってのはズルいもんサ」
「知ってます」
「いいや知らない。まだまだお前は、色んなことを知っていくのサ。これから長い時間をかけて、少しずつ――」
アキハルは、
「まずは
「……まぁどうせ、他にやることもありませんからね」
少女は優しく笑って、アキハルの手を取った。
「
少女はまだ知らない。
たとえ物語が終わろうとも、日々が続いてゆくことを。
異能がなくても、才能がなくても、翼がなくても、それでも日々が続いてゆくことを。
そうして迷いながら歩き続けた先に、木漏れ日のような優しい、名前のないうたがあると知った時。
――その歌はいつか、
アキハルはそんな未来を思い浮かべながら、十二㎎の
「やれやれ――
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