龍刀使いのマハト

八山スイモン

第1話 龍刀使いのマハト①


俺は働くことも、誰かの手伝いをすることも、楽しくない遊びをすることも、意味わかんない儀式をすることも、面倒そうなのは全部嫌いだ。


幼い頃から、無駄に才能だけはあった。4歳の頃には真剣を振り回していたし、6歳の頃には刀の一振りで木を倒していた。8歳の頃には里を襲った山賊集団を一人で返り討ちにし、10歳で国から派遣された軍の将軍を「ムカつく」と言う理由で倒した。


現在俺は14歳。やることがないので、こうして木の上でのんびりとハンモックを広げ、心地いい風に吹かれながら居眠りをしている。



「マハトーーーー!!!!いい加減にせんか!日曜になっても龍神様の神殿に来ないとは、一体どんな神経をしとるんじゃ!いますぐ降りてこい!」


うるさいジジイめ。里長を継いだからといって粋がってんじゃねぇよ。

声を張り上げる初老の男性、里長のハルックは2年前に里長に就いた人間だ。元々里の有力者であり、国の貴族や軍部とも繋がりを持っている。里長に就いてからは外部との交流を進め、里に珍しい食べ物や装飾品が入ってくるようになった。実績のある人間ではあるが、胡散臭さや権力者として驕っている様子が隠しきれていない。率直に言って、俺が嫌いなタイプの人間だ。


里には毎週日曜に、里の外れにある「龍神神殿」に行って祈りを捧げる時間がある。里の人間はみんな信心深いから、誰一人欠かさずちゃんと毎週行っているらしい。俺は12歳の頃から、一度も行っていないが。


俺は居眠りを邪魔された腹いせに、手元においていた大きめの果実をハルックの頭上に落とした。果実はそれなりの重さがあるので、木の上から落としたらそれなりに威力を持つ。果実はそのままハルックの顔面に直撃し、「ゴンッ」という音を立てた。すぐに男一人がばたりと倒れる音が鳴る。


「うわぁ!里長が倒れたぞ!」

「里長!しっかりしてください」

「おのれマハト!ついに長にも手を出したのか!」

「降りてこい!」

「長が気絶したぞ!」

「ああ、まずいぞ!」

「マハト!テメェやってくれたな!」


里長一人かと思っていたが、手下と共に来ていたみたいだ。

俺はハンモックから身を起こし、高い木を揺らした。


この木は「バージュ」という、リンゴと桃の中間みたいな果実を宿す。さっきハルックに落としたのも、その果実である。外皮はそこそこ硬く、中は水分たっぷりジューシーな味わいだ。

この季節は果実が成る時期なので、木を強く揺らせばどうなるかは火を見るより明らかで___


揺らしたことによって熟れた果実が次々に枝を離れ、落下。ハルックと一緒にいた里の有力な大人たち全員の頭上に、バージュの実の雨が降った。


ゴトゴトゴトッ、という音と共に果実が大人たちの頭上に当たる。木はかなり高いので、そこそこの重みのある果実が落ちて当たれば、さっきのハルックのようになってしまう。


木から降りた俺は、大の大人たちがバージュの実が当たっただけで倒れ伏している様子を見て、思わず笑った。


「ぷっ、あははははは!」


ここ最近で一番笑ったかもしれない。

すぐに起きて追いかけてきた大人たちを軽くいなし、俺は里の家に戻った。戻った時には俺に散々振り回された里の有力者たちがボロボロになっていて、俺を含めた悪ガキ集団に大笑いされていたのは面白かった。





___________





俺の家は里のやや外れにある小さな小屋である。


家族はおらず、一人で暮らしている。


___が、それをいいことに、里の悪ガキ集団の集い場になっていた。

全員俺と同い年で、いたずら好きのラック、ガタイがでかいけど臆病なボンズ、ヒョロいが記憶力がいいレリー。全員幼い頃から俺と一緒に育った、里の悪ガキ集団である。


里は人口が少なく、全員合わせても500人いないだろう。必然的に子供も少なく、俺と同じ年は俺を含めた悪ガキ4名と、もう一人しかいない。


人口が少ない上に、里の立地はかなり特殊な地域にあるのだ。里___この国では「龍の里」と呼ばれるこの場所はアルセル王国の中でも秘境地帯とされているアンヘル高原のど真ん中に位置しており、里を抜ければありえないくらい強い魔獣、さらには滅多に出会えない幻獣が闊歩している。そのため、里から出るのも、里に入るのも困難を極めるのだ。


故に、里は非常に閉鎖的なコミュニティとなっており、昔からの古臭い因習が生活の隅々にまで染み付いている。外の人間は既にガスの力で動く車や空を飛ぶ船、遠くの人間と話せる便利な機械を使っていると聞くが、この里では未だにそういう便利なものを遠ざけているのだ。馬鹿馬鹿しいとしか思えない。



そんな俺が里の中で「里の歴史きっての大悪党」扱いされるのも仕方のないことだし、ましては家族のいない俺が悪ガキと連むようになるのも、致し方のないことだと思うのだ。



「___それでさ、ボンズがガーズのじじいの持ってた時計を盗んだんだよ。そしたらどうなったと思う?」


「ちょ、ちょっと、その話は___」


「そしたらガーズのじじい、じじいなのに涙流しながら『その時計は息子の形見なんじゃあ……』っていって泣き出したんだよ!そしたらボンズのやつ、自分も涙流して、おまけに鼻水も流しながら時計を返したんだよ!」


「え〜〜〜!バカだろ!」


「だよな!ガーズのじじいにのに!まんまと騙されたボンズは嘘泣きやめたじじいに捕まって___」


「捕まって___?」


「ボコボコに殴られて、帰ってくるときは涙と鼻水と、ついでに鼻血で顔がグロテスクになってたとさ!」


「あはははははは!」


「うぅ……だってあの涙が嘘泣きなんて分からないじゃん……」


「お前はもっと注意しろよ〜。里のじじい共は最近変な知恵があってな。俺らを出し抜こうと、いつでも罠を仕掛けてんだよ。ワニガメみたいにな」


「ラック、ワニガメ好きだよね」


「レリーの持ってる図鑑に書いてたからな!ワニガメってかっこよくね?」


「ワニガメは小さいから、ボンズみたいに大きいと食べてくれないよ」


「そうだよ!ボンズは体はでかいんだから、エンシェントエレファント(※)みたいにずっしり構えてりゃ、誰も怖がって近寄ってこねぇって!盗んだりするのは俺とかレリーがやる方がいい」


「マハトは何も言わなくてもじじい達を困らせてくれるんだし、その隙に僕たちが作戦を練ってもっと面白いことをしようよ!」


「僕もそれがいい!この前見つけたマローダス・ブルのうんこの化石がすっごい丸い形してたから、あれを神殿の入り口とかに置いてみんな神殿から出られないようにしよう!」


「いいじゃん!その隙に、俺とレリーが里長の家に入って___」



「……」


というように、俺が何か悪ガキを仕切っていたわけではなく、単純に俺の家が空いているのをいいことに、勝手に悪ガキどもが転がり込んでくるだけなのだが。俺は別にイタズラがしたいとも思っていないし、困らせようとも思っていない。俺は単に嫌いなことをしないだけなのだ。ただそれだけで嫌われる方がおかしい。


だから、悪ガキ集団が何をしようと別に止めようとも思わない。むしろ、彼らの底無しに明るい空気が、孤独な俺にわずかな明かりを灯してくれていた。俺は、こんな風にワイワイする空気の中にいるのが好きだった。



コンコン、と扉が鳴った。


「おじゃましまーす。マハトいる?」


「「「げっ」」」


悪ガキ三人組が揃って物陰に隠れ始めた。ドアを叩いた人間を怖がっている証拠だ。

ドアを叩いたのはナリミ、この里でもう一人の同い年の女の子だ。長い麦色の髪と同じく麦色の目がトレードマークで、里の女の子の中では多分彼女が一番優れた容姿を持っていると思う。いわば里のマドンナだ。


部屋に入ってきたナリミは白いおしゃれなワンピースを着て、カゴの中にたくさんの食べ物を持って入ってきた。


「あ、またあの3人も一緒にいるんでしょ。靴あるからバレてるよー」


「「「うっ」」」


「3人とも、今日のハレルドリ(※)をお世話する仕事サボったでしょ。私が代わりにやらされたんだから、あと1週間は私は休んで3人に任せるわよ」


「え、マジか」


「サボりたいけど」


「あの鳥、放っておくと餌を求めて、匂い知ってるやつに手当たり次第に突進するよね。多分僕たちも……」


「もう夜だけど、謝りにいった方がいいわよー。明日の朝にはお腹を空かせて暴れるかも」


ナリミがそういうなり、3人は慌てて靴を履いて出て行った。



「全くもう、マハトも相変わらずね」


「……うん。ありがとう」


ナリミはいつもこうして、俺に世話を焼こうとする。今日もパンを一斤、野菜と肉の燻製をどっさりと持ってきた。俺の家の保存容器には入らないくらい大量に。


「ねぇ、こんなにもらっても入りきらないんだけど……」


「今使えばいいでしょ。キッチン借りるわよ」


「え、ああ、うん」


そういうなり、ナリミはキッチンに食材を並べ、勝手に料理を初めてしまった。俺はその様子を眺めながら、久しぶりに穏やかな気分になっていた。





__________





俺には家族がいない。生まれてすぐに母親は病で亡くなったらしい。父親の話はあまり聞かないが、どうやら幼い俺を置いてどこかへ消えてしまったらしい。里の大人達は「蒸発した」と噂しているが、真相は分からない。


俺は幼くして孤独となり、里で一番のお人好しとして多くの人に好かれていた建築士のバーゼルの養子になった。ナリミはバーゼルの娘で、たまたま同い年であったことから俺とナリミは一緒に遊ぶことが多かった。


ナリミは非常に聡明で賢い子だった。幼い頃から力で暴れていた俺と違い、幼い頃から勉学に励み、里から遠く離れた王国の王都で使われている標準語を使いこなし、おまけに遥か遠くの外国の言葉も覚えていた。他にも難しい歴史の話や、聞いたこともない物理やら化学の勉強をしていた。そこで得た学びを、いつも楽しそうに俺に語って聞かせていた。あまり興味がなかったのでぼーっとしながら聞いていたが、いつも間にか俺もナリミに似て標準語を話すことができるようになったり、歴史や自然界の法則についての知識を俺も得るようになった。そして何より、楽しそうに話すナリミの姿が何よりも好きだった。


だが、俺とナリミが12歳の時、育ての親であるバーゼルが亡くなった。里の外に探検に出かけていた最中、魔獣に襲われたらしく、血塗れの状態で里に運ばれた。運ばれてすぐの時はまだ息があったが、既に体内に魔獣の毒が回っていたらしく、既に手遅れであった。今でも、泣きながらバーゼルの手を握り、「お父さん!お父さん」と呼びかけるナリミの姿を覚えている。


それ以来、俺は里の外れの小屋で暮らすようになった。ナリミと一緒に暮らそうと思っていたのだが、ナリミは優秀であるが故に里の大人達からは将来を期待され、数年に一人しか選ばれない「成龍式」の対象者に選ばれたのである。「成龍式」とは15歳になった龍の里の若者のうち、特に優秀な者を里の代表として王国の王都へと送り、里の誇りとして役職をもらう儀式のようなものだ。


この成龍式の次の対象者として選ばれたのがナリミだった。ナリミは15歳になるまでの間、王都に向かっても問題がないよう、必死に様々な勉強と鍛錬に明け暮れていた。勉強だけでなく、魔獣との戦い方や霊装の使い方なんかも学ばないといけない。12歳になって以降、里の外れでのんびりと暮らす俺と、忙しいナリミには段々と接点がなくなっていた。


だが、今でもこうしてたまに一緒にご飯を食べたりもする。今のマハトにとって、ナリミとの限られた時間は宝物だった。この時間がもうすぐで終わると思うと、なんとも言い表せない、悲しい気持ちになる。



ナリミが作ったのは、里で飼育している食用魔獣「バルデル・ブル」の肉で作ったシチュー。香ばしい香りが家を満たす。


「さぁ、食べましょう!たくさんあるから、おかわりもできるわよ」


「まったく、ナリミはまるで俺のお母さんみたいだな」


「それくらいマハトが子供ってことよ。私以外、誰もマハトを躾けられないじゃない」


「はは、言えてるなぁ」


ナリミはいつもこうして俺に世話を焼いて、こうして話に付き合ってくれる。今こうして料理を作ってくれたのも、日中の忙しい務めをなんとか早めに終わらせて、わざわざ俺のために時間を作ってくれているからだろう。申し訳ないと思うが、やはり俺はこの時間が大好きだ。





___________





夜。


ナリミ手作りの料理を平げ、そろそろ寝ようという時間。


「ナリミ、もう遅いし、送っていくよ」


成龍式で選ばれる若者は、生活の全ての部分を管理されて過ごす。寝る時間から起きる時間、ご飯を食べる時間にすら自由はない。今日こうしてくれるのも、本当であれば怒られかねないことなのだ。


だからこそ、俺のせいでこれ以上ナリミに負担をかけなくなかった。早く帰らせてナリミを寝させようとしたのだが___



「ううん、いいよ」


「……え?」


「今日は、帰らなくて、いい」


「………………………………え?」


唐突のことすぎて、俺には理解が及ばなかった。何かとんでもないことをナリミが言った、ということだけはなんとなく分かる。


「……帰らないなら……どこで寝るの……?」


恐る恐るナリミに尋ねる。何か、とんでもない答えが帰ってきそうな予感がした。



「今日は、ここに泊まるよ」



そう話すナリミは、食器を洗う手を止めながら、少しだけぎこちなさそうにもじもじとしていた。少しだけ耳と顔が赤くなっているもの分かる。

ちなみに、耳と顔が赤くなっているのは、俺も同じだった。



俺はベッドに横たわりながら、同じ毛布にくるまっているナリミのことが気になりすぎて寝れずにいた。いつもなら睡魔に負けている時間なのに、今でも目がぱっちりと開いている。横たわるナリミも、目は閉じているがしきりにもじもじと動いていて、起きているのがバレバレである。


泊まるといっても、流石に同じベットで寝るとは思っていなかった。俺は普通に椅子で寝ようと思っていたが、ナリミが無理やり俺をベッドに寝かしつけ、そのまま自分も入ってきたのである。


(ナリミって、こんなに積極的な子だったか?)


かつて家族として暮らしていた仲だと言っても、一応相応の年齢の同い年の男女である。一緒に寝るとなると、流石にお互いことを意識せざるを得ない。まさかナリミがここまでやるとは考えていなかった。


それに___なんだかんだで俺もナリミのことが好きだった。こうしてナリミが俺と一緒にいてくれるのは、踊り出したいくらいに嬉しいことのはずなのだ。だが、急展開すぎて頭が追いつかない。


ふと横を見ると、たまたま寝返りをうってこっちに顔を向けたナリミと顔があった。目は閉じている。


月明かりに照らされたナリミの顔は、とても綺麗だった。化粧などせずとも、長いまつ毛や白くつやのある肌、そして垂れかかる長い髪がナリミの色気を際立たせている。14歳でこんなに綺麗な顔なら、もっと成長したナリミはどんなに美人だろうか。


気づいた時には、その綺麗な顔に手を伸ばしていた。顔にかかっていた髪を優しく払い除け、まじまじと彼女の顔を眺める。ぼーっと見とれているうちに、段々と俺にも眠気が___


「女の子の顔まじまじと見たり触ったりするなんて、紳士じゃないわよ」


ナリミがしゃべった。寝そうになっていた俺は一瞬で目が覚め、勢い余って飛び起きてしまった。


「……ナリミ、や、やっぱり起きていたんだね」


俺は恐る恐るベッドで後退りすながら、バツが悪そうにそっぽをむきながら話した。ナリミは目を開け、もじもじと何か言いたげな顔でこちらを見ている。まさか自分が男の欲望に逆らえないとは……。


「マハト、勇気ないでしょ」


「え、なんの?」


「それを私に言わせないでよ!ばか!」


ナリミは怒ってそういうなり、布団にくるまってしまった。俺としてはそういうナリミの仕草も可愛いとしか思えないのだが、言わんとしてることは分かる。だが、まさかそれをナリミから切り出してくるなんて思ってもいなかった。


「……ナリミ、すごいね。こんなことされるなんて、びっくりしたよ」


「……私じゃ、嫌?」


ナリミの声は今にも消えそうな声だった。おそらく、自分が取った行動の結果が実るのか、不安で不安で仕方がないのだろう。鈍感な俺にも、それくらいは分かる。


「……嫌じゃないよ。嫌なわけあるもんか。俺は嬉しいよ」


「マハト……」


ナリミは布団にくるまったまま、相変わらずもじもじと動いている。


「私はね、不安なの」


「え?」


「私はもう少ししたら、ここを出ていないといけない」


「……うん」


「そうしたら、マハトとはもう会えなくなる」


そうだ。わかっていたことだ。でも、こうしてナリミの口からそれを聞くだけで胸が引き裂かれそうになる。


「私、怖くないよ。こう見えても色んなことを頑張っているし、王都に行ってもなんとかやっていけると思う。でもね、こうやって床についた時に、ふと漠然とした不安が襲いかかってくるんだ。もしかしたら、ひどい目に遭うかもしれない。もしかしたら、マハトや里のこと……お父さんのことも忘れてしまうかもしれない。怖いものは強くなれば我慢できるけど、不安なことは強くなっても振り払えないんだよ」


俺は、ただ黙ってナリミの話を受け止める。不器用な俺には、こうして聞くこと弛緩できないから。


「私たち、離れ離れになっちゃうのかな。___もう、マハトには会えないのかな?」


ナリミが起き上がり、涙を含んだ輝く目で俺を見つめた。潤んだ麦色の目は夜の月の色をしていて、普段よりもいっそう美しさを際立たせている。

俺はただ___ナリミに寄り添い、抱きしめた。


「ナリミ、俺も不安だ。俺は強いけど、ナリミが頑張るのを手伝うことができないし、肩代わりすることもできない」


抱きしめられたナリミはビクッと体を震わせたが、徐々に受け入れて、手を俺の背中に回してくれた。


「でも、俺もナリミと離れたくない。だから、これからも一緒にいよう。俺は別に里にいないといけないわけじゃない。こっそりナリミについていくよ。それで、一緒に王都で暮らそう。一緒に新しいものをたくさん見て、たくさん食べるんだ。一緒なら、怖くない。ナリミには俺が、俺にはナリミがいる。だから___大丈夫だ」


ナリミは一層強く俺を抱きしめた。俺と離れることを怖がるかのように。俺もまた、涙を流すナリミの頭を撫で続けた。

俺の気持ちは固まった。俺は一生、ナリミの盾であろう。ナリミが表の世界で活躍するのなら、俺はその背中をずっと支えてあげよう。俺が一生、彼女を守り続け、いつか二人で見たことのないものを見にいくのだ。きっと心躍る冒険ができるはずだ。


しばらく抱き合った後、ナリミは疲れが溜まっていたらしく、すぐに眠りについた。俺はナリミの涙を拭いながら、彼女の手を握りながら、同じく眠りについた。





どうか___こんな日々が、これからも、王都に行ってからもずーっと続きますように。

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